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イギリスのタブロイド新聞「The Sun」とはどんな新聞? ステイタスや読者層は?

イギリスのタブロイド新聞「The Sun」とはどんな新聞? ステイタスや読者層は?
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英新聞 The Sun(ザ・サン)とはどんなタイプの新聞?


皆さんこんにちは。今回の記事は読者の方から頂いたイギリスの新聞についての質問に答えてみたいと思います。具体的なテーマは「英タブロイド新聞 The Sun」に関する質問です。



それでは、実際に頂いた質問はこちらになります:


読者の方の質問:


北京オリンピックが終わりました。最終日の2月20日には女子カーリングの決勝戦があり、英国と日本の代表選手が戦い残念ながら日本が負け英国に金メダルをもらいました。

その決勝戦のエピソードが英国タブロイド紙のThe Sunに、日本のスキップ藤沢五月選手のことが掲載され、ヘッドラインは以下のとおりでした。

“LEND A HAND Japan curling skip Satsuki Fujisawa has inspirational message on her hand that’s helped her reach final against Team GB”

右手の甲に何かおまじないを書いてあったのが記者の目に留まったようです。微笑ましい記事で残念な敗戦の後ほっこりしました。

私がロンドン駐在のときからこのThe Sunというタブロイド紙はありましたが、読んだことはありませんでした。なんとなくタブロイド紙に抵抗があったのかもしれません。

ここからが質問ですが、このThe Sunというタブロイド紙のステイタスは、英国ではどのおうなものなのでしょうか。

日本の「日刊ゲンダイ」とか「夕刊フジ」といったゴシップ記事の多い夕刊紙と同じような新聞でしょうか。英文はどうでしょうか。格調の高いクイーンズイングリッシュなのでしょうか。

日本人の私にはこの英語のニュアンスが判らないので宜しく解説をお願いいたします。


先ずはご質問ありがとうございました。そして、いつも当サイトを読んで頂きましてありがとうございます。

それでは、まず最初に「The Sun」という新聞をご存じない方も多いと思いますので、この質問に答える前に「The Sun」の歴史と豆知識を紹介したいと思います。




英タブロイド新聞 The Sunのヒストリー


The Sunは現在どういう新聞なのでしょうか?

最近までイギリスで最も売れていた新聞はThe Sunでした。現在はMetroの方が売れていますが、2018年まではThe Sunの方が人気がありました。

The Sunは1964年に設立されました。設立後間もない頃は、タブロイドではなく普通サイズの新聞でした(大判)。そして、イギリスの労働党を応援する新聞として作られていました。

1969年にはRobert Maxwellという人物によって買収され、彼は同じように「労働階級向けの新聞」というスタイルをそのまま続けましたが、さらにセールスを上げるためにスタイルを変え創意工夫を行いました。

まずは新聞のサイズをタブロイドのサイズにしました。そして、前よりも若い読者向けのコンテンツを導入しました。読者層は女性よりも若い男性がメインでした。そのため、グラビア風の写真などを多数掲載しました。

そのことから、「性別差別を助長する新聞」というイメージがありました。このスタイルに多くの人達が非難しました。それによってイギリスの様々な図書館はThe Sunを禁止しました。



The Sunは1979年に労働党ではなく、マーガレット・サッチャーの保守党を応援するようになりました。そして、フォークランド紛争を応援しました。The Sunの戦争報告はとても扇情的で、アルゼンチン人に対して人種差別的な言葉遣いを使っていました。

そして、The Sunは今までに様々なスキャンダルに巻き込まれています。最も大きなスキャンダルは「ヒルズボロの悲劇」の後のリポーティングです。皆さんはヒルズボロの悲劇をご存じでしょうか。

これは1989年にシェフィールドのヒルズボロスタジアムで、97人のリバプールのサッカーファンが亡ったという出来事です。警察のミスで多くのリバプールファンが押しつぶされました。

この事故をThe Sunは警察のミスではなく”リバプールのファンのせい”にしたこと、そして色々な嘘を書きました。そのスキャンダル記事によって、現在までリバプール出身の人はThe Sunをボイコットしています。






The Sunは現在どういう新聞なのでしょうか?


英タブロイド新聞 The Sunのヒストリー

私は日本のタブロイド・週刊誌などは読んだ事はありませんので、詳しく比較する事はできませんが、私が知っている限りおそらく日本の週刊誌に近いのではないかと思います。

質問して下さった読者の方がおっしゃる通り、ひと昔前に中高年の男性の方がよく電車の中で読んでいた日本の週刊誌・新聞(日刊ゲンダイ、夕刊フジ、東スポ)に似ていると思います(笑)。

私の個人的な意見でもThe Sunは「主に男性読者が多いだろう」と思っていましたが、統計を見ると「女性の方が多い」ようです。

おそらく、セレブのニュースが多いからなのではないかと思います。そして、ほとんどの読者は35歳以上だそうです。


The Sunの読者について



The sunの読者層の参考グラフ

The Sunのライティングスタイルはとても簡単なので、本当に誰でも読むことができる記事しか入っていません(笑)。ブリストル大学の研究によると、The Sunはイギリスで最も読みやすい新聞なんだそうです。

研究者はAIを使って、色々な記事を分析しました。その研究によると、The Sunは小学生でも簡単に読めるそうです。逆に「The Guardian」という新聞は最も読みづらい新聞なんだそうです。

The Sunの記事は比較的短く、口語のようなボキャブラリーが多いです。見出しはスラングや言葉遊びが沢山入っています。この点も先程触れた日本の週刊誌に近いのかもしれません(笑)。

主にThe Sunに掲載される記事は、芸能ニュース、一般ニュースや政治界の記事、経済などのテーマもありますが、あまり深いディテールまでは掲載しません。ニュースの上に軽いライフスタイルの記事、芸能人ニュース、スポーツ(主にサッカー)が多いです。






The Sunのイメージ・評判


The Sunのイメージ・評判
この新聞は明らかに売れている新聞ですが、私の周りではThe Sunを買って読んでいる人は中々知りません(笑)。この新聞を買ったり読んだりする事は私の家族や友達の中で少し恥ずかしいのではないかと思います(笑)。

私のおじいちゃんはその昔The Sunの中に入っていた「クーポン」を集めていましたので、おばあちゃんにスーパーで買ってきてもらっていました(笑)。

しかし、おばあちゃんはThe Sunを買う事はあまりにも恥ずかしすぎて、スーパーではショッピングカートの中でも食品の下に入れて隠して購入していました(笑)。

おばあちゃんによると「知り合いに見られたらとても恥ずかしいわよ!」という意見だそうです(笑)。ミドルクラスのおばあちゃんが買うような新聞ではありません(笑)。

あるアンケートによると、典型的なThe Sunの読者は以下のような人なんだそうです:


  • 好きな料理:ポークチャップ
  • 趣味:テレビゲーム
  • 興味ある分野:セレブ
  • 好きなスポーツ:ダーツ、サッカー、ボクシング
  • ペット:犬
  • テレビを見る時間:一週間に36-40時間



逆に「The Guardian」というミドルクラス向け新聞の読者層はこちらのようなタイプ人なんだそうです:

  • 好きな料理: イタリア料理
  • 趣味:ライティング、ハイキング
  • 興味ある分野:政治、アート
  • 好きなスポーツ:クリケット
  • ペット:猫
  • 好きなスーパー:Waitrose



明らかに読む新聞は人のソーシャルクラスを表すでしょう(笑)。





日本のカーリングチームに関する記事


カーリングのスキップについての記事はとても短く日本人の英語学習初心者には読みやすいと思います。The Sunはジャンク記事も多いですが、書き方が簡単なので、非英語圏の外国人にはわかりやすいと思います。

難しくて長い文章や難しいボキャブラリーはあまり使われていませんので、子供でも読めると思います。しかし、一応はネイティブ向けなので口語やスラング、イディオムなどが使われています。それでは記事の内容をを少し読んでみましょう。

見出し:
LEND A HAND Japan curling skip Satsuki Fujisawa has inspirational message on her hand that’s helped her reach final against Team GB


この「lend a hand」というイディオムは日本語の「手を貸す」と同じ意味になると思います。

つまり、「助ける、手伝う」という意味になります。The Sunの見出しにはだいたいチープな言葉遊びがあります。

この見出しもそういった言葉遊びだと思います。藤沢選手の手の甲に書いてあるメッセージは「彼女を助ける・応援する」メッセージだから「lend a hand」という言葉遊びを使ったんだと思います。

JAPAN curling skipper Satsuki Fujisawa has revealed the inspirational message on her hand that’s helped to set up a Winter Olympics final against Team GB.

Fujisawa led her side to an 8-6 win over Switzerland in the semis.


この「skipper」とはイギリスのスポーツ用語では「キャプテン」という意味になります。

カーリング用語では「skip」という言い方になると思います。「inspirational message」は「自分をインスパイヤするメッセージ」という意味になります。


And Japan will now face off against Team GB for gold in Beijing this weekend.

It is sure to be an epic showdown versus Eve Muirhead’s Scottish stone sisterhood.


この「face off against」は「○○と戦う」という意味になる表現です。「epic showdown」は「大きな戦い」という意味になる表現です。

stone sisterhood」は少しふざけた言い方だと思います。「stone」は「カーリングの石」という意味になり、「sisterhood」は「女子チーム・姉妹」というニュアンスを与えます。両方「s」から始まる単語なので、選ばれたフレーズだと思います。



And it has now been revealed that Fujisawa had an uplifting message inked on her hand during the tournament.

It read: “I’m a good curler. I have confidence. Let’s have fun!”

Japan will come up against a Team GB side riding high on a tense 12-11 win against reigning champions Sweden.

Skip Muirhead said: “It is third time lucky. I’ve lost two semi-finals before and I was desperate for it.


「I’m a good curler. I have confidence. Let’s have fun!」
(私はカーリングが上手です。私は自身があります。楽しみましょう!)


藤沢選手はそのスローガンを読むたびに力が出ると思います。

そして、「Team GB side riding high」は「イギリスのチームは波に乗っている」というニュアンスを与えるフレーズです。

reigning champions Sweden」は「現チャンピオンのスウェーデン」という意味になります。「Third time lucky」はよく使われていることわざです。これは「三回目の幸運」という意味になります。




まとめると、私は個人的にあまりThe Sunの事は好きではありませんが、よく考えたらシンプルな英語しか使っていませんので、英語学習初心者の方には意外と役に立つかもしれません(笑)。

以上になりますが、他にも質問があれば是非ご連絡くださいね!

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