イギリスでの不動産購入事情・日本との大きな違い
皆さん、こんにちは。今回の記事ではイギリスと日本のカルチャーの違いとして「イギリスで家を買う場合と日本で家を買う場合の違い」ついて紹介してみたいと思います。実はこのテーマは読者の方から頂いた質問が元になっています。これはとても面白いテーマになると思います
読者の方の質問:
こんにちは。いつも興味深い記事を書いてくださりありがとうございます。イギリスでの家の購入事情について質問させていただきます。(過去に同じ質問があったらすみません)
私はBBCのescape to the countryという番組をたまに観るのですが、その中で気になったことがあります。依頼人が物件候補を見て回るとき、どの家もまるで人が住んでいるかのような内装が施されています。私のなかでは、売却物件は前の持ち主の家具等をすべて撤去して空っぽの状態になっているイメージだったので、不思議でした。
あの時点ではまだ家の持ち主が住んでいて、実際に売れたら家具等を撤去するのでしょうか。それとも、家具等も込みでひとつの物件として引き渡されるのでしょうか。よろしければ教えてください。
ご質問ありがとうございます! そして、いつもサイトを読んで頂きましてありがとうございます。
この質問のテーマはとても面白いですね。実は最近、私はある日本人の知人とイギリスの不動産に関する会話をしていました。私はいつか日本で素敵な和風の家が欲しいな~と思いながらインターネットで家の価格、広さ、間取りなどを調べてみました。
その際に私が見た家は、新築の家は勿論、誰も住んでいないので空っぽの状態ですが、日本の中古の一軒家は殆どの場合、家具などは一切入っていないという事に気が付きました。
私は「その家の持ち主は何処に住んでいるのかな?」と考えてしまいました(笑)。家の比較するために、同じくイギリスの不動産ウェブサイトも見てみました。
イギリスの場合、不動産情報サイトに掲載されている殆どの家は人が住んでいる状態のまま写真が掲載されていました。例えば、その家の家具、個人的な持ち物など。そういった人のテイストを見る事も出来るのである意味面白かったです(笑)。
それではイギリスの家の中古物件と日本の家の中古物件はどうしてそのような扱いの違いがあるのでしょうか。私の個人的な意見で違いを分析して紹介してみたいと思います。
そして、家・不動産に関連する情報・カルチャー・習慣も同時に紹介してみたいと思います。
イギリス人は日本人よりも引越しが多い?
多くのイギリス人は日本人よりも家(不動産)を買ったり売ったりする事が多いと思います。その理由としては、「イギリスの家は殆どの場合、古くなっても家の価値が上がる」という傾向が関係しているのではないかと思います。
その為、人生の中で家を買った後に何度か引越しても、家を売った差額で大体の場合は利益が出ます。しかし、日本では、逆に家が古くなる価値が下がります。日本はイギリスと違って地震などの災害が多い国なので、一般的な方は新しい丈夫な家を欲しくなります。
しかし、イギリスでは、地震等の恐れはありませんので、例え家が古くなっても価値は変わりません。逆に古い家はとても価値が上がります。
以前に書いた記事でもお話した事がありますが、私は子供の頃にビクトリア時代の家に住んでいました。その家は約1900年くらい建てられたものです。ですから、家の中に当時を思わせる特徴がありました。
例えば、ビクトリア時代の暖炉、その時代を髣髴とさせる豪華な手すり等。その時代の特徴が至る所に残っていました。そういった年代を感じる特徴を好むイギリス人は多いので、自然と古い家は価値が上がります。
日本では、一般的に100年以上前に建てられた家等は、耐震性の観点から見ると「危なくて住みたくない」と考える方が多いと思います。そのため、そういった古い家の価値はゼロに近いです。基本的には土地の価値しか残りません。
一般的に多くのイギリス人は若い頃に出来るだけ早く自分の家を手に入れようとする人が多いです。小さい家でも良いですが、若いうちにマイホームを買いたがる人が多いです。しかし、その家に生涯ずっと住み続けようと考えるイギリス人はとても少ないです。
イギリス人は初めて買う家を「不動産はしごのファーストステップ」として考えています。つまり、そのうちに「小さい家を売ってもっと大きい家に引越す」という計画を立てています。
家を売って引越す際には毎回利益が出ると考える人が多いです。イギリスでは、不動産はただの家だけではなく「投資の対象」と考えている人が多いと思います。
その理由もあって、イギリス人は日本人よりも家を買ったり売ったりする人が多いんだと思います。基本的には数回引越したところで損にはなりません。
※※もちろん、エリアによります。人気のないエリアや仕事のないエリアの場合には損失が出ます。
イギリスで売りに出されている不動産(家)物件には何故まだ人が住んでいる?
イギリス人は色々な理由で引越しをします。例えば、もっと大きな家に住みたい人、もっと良い学校の近くに住みたい人、職場の近くに住みたい人など。以上の理由で引越す回数が多いです。
しかし、当然、その際に自分の家を売らないと、新しい家に引っ越せません。一般的にイギリス人は自分の家に住みながら新しい家を探します。みんな同じ事をしていますので、多くの不動産物件サイトに掲載されている家は全て人が住んでる写真がアップされています。
例えば、サイトで見ていて、気にいった家があるとします。その物件を見にいく事になった際、不動産屋に連絡して「その家を見に行きたい」と頼みます。
不動産会社はその家のオーナーに連絡してから内見の日を決めます。内見に行く際には不動産屋が案内しますが、殆どの場合、住んでいる日常生活の状態のまま内見を行います(笑)。勿論、ある程度は綺麗にしていると思いますが(笑)。
ちなみに、私の親が家を売却したいと思っていた時には、色々な人が家を見に来ました。その当時私たちはまだ住んでいましたので、家具や洋服などは全てそのまま入っていました。
子供の頃に全く知らない他人が寝室に入って色々見る事は、とても嫌でしたが、それはしょうがない事だという事が後々分かりました。
イギリス人は殆どの場合、家を売買する際にまだその家に住んでいますので、引越しの際にはとにかく大変です。結局、自分の家が売れても次の家に移るまでの「チェーン」が出来上がります。
つまり、自分が買った家には、まだ誰かが住んでいますので、自分が新しい家に引越しすると同時にその家族も新しい家に引越す必要があります。
ですから、場合によっては「とても長い引越しのチェーン」が出来上がります。時々、そのチェーンに入っている一人が販売を止めてしまう場合があります。その場合には、チェーンが崩れてゼロに戻る必要があります。
日本の(販売中の)不動産物件の多くが、人がいない状態で紹介されている理由としては「新築に引越しする人が圧倒的に多い」からだと思います。
それか、お年寄りが老人ホームに引っ越したり、親戚と一緒に住むようになったりなど。多くの場合はそういった理由だと思います。
つまり、こういった状態で不動産が売買されると、イギリスのような「チェーン」は出来ません。一般的な日本人は殆どの場合、一回家を買うと、その家に長く住むつもりと考えて購入していると思います。
ですから、イギリス人と違って、戸建てを買った後にはしょっちゅう引越しはしませんよね。もし引越すなら、それなりに大きな理由があると思います。そして、多くの日本人はローンを返済してから引越しする人が多いと思います。
もし、イギリスの家に興味がある方は、下記のページをご覧下さい。私の地元「Bedford」で販売されている家を見る事ができます。ここに掲載されている殆どの家には、まだ人が住んでいますので、個人の家具などのテイストが見られますので、それも面白いと思います(笑)。
時々ですが、とても荷物が多く、ごちゃごちゃしている家族の家もあります(笑)。お金に余裕があれば大きな家も素敵ですね。しかし、金額は「£730,000(¥103,331,848)」と高額なので、かなり貯金しないといけませんね(笑)。
Escape to the Country とは?
この「Escape to the Country」という番組の事を知らない方は多いと思いますので、簡単に内容を紹介したいと思います。この番組は都会から田舎に引っ越したい人が家を探すという内容の番組です。
引越しをする人は、自分のニーズ(家のサイズ、場所、価格など)を言って、プレゼンターがその希望にあった家を紹介していきます。イギリス人は不動産関係の番組が大好きです。「Escape to the Country」以外にも沢山の似た番組があります。
イギリス人は普段、他人の家にはあまり入りませんので、その「好奇心」を満たせる番組は多いです(笑)。そして、自分の理想の家を想像する事が好きな人は多いです(笑)。そういった番組を「property porn(不動産ポルノ)」と呼びます(笑)。
イギリス人の家に関する考え方・不動産事情のまとめ
まとめると、イギリス人の多くの人は家が売れた場合もそのまま住んでいます。それは何故なら、殆どの場合まだローンがありますので、売る前に違う場所に引越しする余裕はありません。
自分の家が売れた後にようやく次の家に引越すという流れになっています。そして、イギリス人は日本人よりも引越しする回数が多いと思います。私の親は私が生まれてから5つの家に引越しして住んでいます。
ですから、私は自分の実家がどれなのか分かりません(笑)。他のイギリスのカルチャーに関する質問があったら、是非ご連絡くださいね!