アメリカ人も使い出しているイギリス英語イディオムについて分析
この間、当サイトでイギリス英語のアメリカ化という現象「イギリス英語の歴史と現在のイギリス英語について」についての記事を紹介しました。しかし今回は、その逆の現象として「アメリカ英語のイギリス化」について紹介していきたいと思います。
英語圏各国では互いに多くの新しいスラング、ボキャブラリー、イディオム等が共有され使われています。アメリカのパワフルなメディアの影響もあり、新しい単語は益々アメリカから他英語圏の国に広がっていっています。
しかし最近になり、あるアメリカ人の言語学者はアメリカにおいてイギリス英語のミニブームという現象に注目している学者がいます。近年、多くの「イギリス英語スラング」や表現がアメリカでも使われるようになってきました。それは一体どんな事が理由になっているのでしょうか?
アメリカ英語のイギリス化
アメリカのデラウェア大学の英語文学の講師のベン・ヤゴダ氏は、アメリカ英語のイギリス化という現象を気がつき、この件についてブログを書き始めました。
彼はアメリカ人がイギリス英語を使った際の模様を自身のブログで記録しています。そして彼のブログの読者は、その単語や表現に対する意見交換を行っています。
http://britishisms.wordpress.com
彼は今までアメリカ人が使った150以上のものイギリス化された単語と表現をつけたそうです。
例えば以下のようなものがあります。
- ginger (赤毛、赤毛をしている人)
- sell-by date (満期日)
- cheeky (生意気)
- chat up (上手な話し方で人をナンパする)
アメリカ英語がイギリス化した理由
最近のイギリス英語ミニブームは、様々な事が原因になっていると考えられています。
以下に主な理由を紹介していきたいと思います。
アメリカ英語では微妙な意味を表現できる単語がない為
イギリス英語も基本的にはそうですが、会話内容によって時々程よい表現か単語が存在しない場合、イギリス英語の単語が丁度いい表現として使える事があるようです。
アメリカでもイギリスのテレビ番組が放送されるようになった為
ケーブルテレビの影響でアメリカでも多くのイギリスで作られたテレビ番組が放送されるようになりました。テレビを見ている人達は面白かったイギリス英語の単語、変ったイギリス英語の単語を聞いた場合、それらを自然と使うようになります。そして友達や同僚にもそれらが影響して、日常的に使う単語として広がっていくようになるそうです。
イギリスとアメリカ人の間のコミュニケーションが増えた為
現在ではチャットやソーシャルネットワークのようなサイトで世界中の英語圏の人達が話しあっています。その影響もあり、他国の国にもイギリス英語のボキャブラリーが伝染していきます。
メディアやライターの影響が強い為
このマルチメディアの時代ではライター達はライバルが多いです。ジャーナリストやマーケティングの人達はいつも面白いキャッチコピーを捜していますので、お洒落にみえるように「流行」している(イギリスの)単語を使う傾向があります。
アメリカでイギリス人のトップジャーナリストが増えた為
アメリカのVogueのエディターはイギリス人ですし、ニューヨーカーなどの雑誌にもイギリス人の編集者が参加しています。このような事がきっかけで、アメリカのメインストリームメディアにおいて、(一時的に?)イギリス人の影響が強くなった事が関係しているという考えがあります。
これらの現象を当のアメリカ人達はどう思っているのでしょうか?多くのアメリカ人は、これらの新しいイギリス風単語を使う事が好きなようですが、それ意外のアメリカ人は嫌がっている人も一部いるとの事です。
同じ意味のアメリカ英語の単語があれば、殆どの人はアメリカ英語の単語を使うでしょう。そしてアメリカ人にとってイギリス英語は「高級」なイメージがあるので、あまりイギリス英語を使いすぎると「この人は調子にのっている!」と思われる可能性があるようです(笑)。
しかし、これらの新しいイギリス英語の単語がアメリカで使い続けられれば、最終的にはアメリカの辞書に入って、普通のアメリカ英語になって使われていく事でしょう。