イギリス英語で「盗む」という意味になる nick、pinch、half-inch等の表現
今回の記事では「盗む」という意味になるイギリス英語特有のボキャブラリー、口語、スラングを紹介したいと思います。その他にも盗むというテーマに関連する単語も紹介します。
この記事のまとめ
nickは「軽い内容の悪さ」=「軽犯罪」という意味。
pinchもnick同様に「軽犯罪」という意味で「half-inch」というライミングスラングもある。
to trouser 〇〇は「物を盗みズボンのポケットに隠す」という意味
この「盗む」という言葉を和英辞典で調べると「steal」という動詞が出てきます。もちろんこれは正しい言い方ですが、イギリス英語の日常会話ではさらに色々なバリエーションが出てきます。
この単語に限らず他の言い方も覚えておくと、イギリス人の日常会話はもちろん、イギリスの映画、ドラマ、SNS等にも役立つと思います。
nickの意味と使い方
まず最初に「nick」という動詞を紹介したいと思います。これは日常会話によく出てくる口語です。発音は「ニック」になります。nickは「steal」と同じ意味ですが、nickの方が軽い罪(軽い悪さ)に対して使います。
例えば、最後に残っているクッキーを盗んで食べたというようなシーンで「nick」という動詞を使います。逆に銀行の強盗について話す際には「steal」や「rob」の方が適切だと思います。
nickには他の使い方もあります。同じ犯罪の話ですが「逮捕される」はイギリス英語のスラングで「get nicked」という言い方になります。正しい英語は「get arrested」です。それでは実際にnickの使い方を例文で確認してみましょう。
nickの使い方 例文
A: Why is Tom so angry?
(トムはなんでそんなに怒っているの?)
B: He left his bike outside the swimming pool and it got nicked.
(彼は自転車をプールの前に駐輪して盗まれたからだよ。)
A: Can I nick the last biscuit?
(最後のクッキーをとっていい?)
B: No. I was saving it for dad.
(だめだよ。お父さんのために取っといたよ。)
A: The person who stole my bike got nicked.
(私の自転車を盗んだ人は逮捕されたって。)
B: That’s good news.
(それは良かったね。)
pinchの意味と使い方
次に紹介する「pinch」は先程紹介したnickと同じ使い方でニュアンスも同じです。つまり「軽犯罪」について話す時にしか使いません。
この動詞から「half-inch」というライミングスラングもできました。この表現の意味も同様です。過去形はhalf-inchedになります。それでは使い方を例文にて確認してみましょう。
pinch/half-inchの使い方 例文
A: I left a yoghurt in the fridge, but it’s gone now. Did someone pinch it?
(私は冷蔵庫にヨーグルトを入れておいたけど消えた。誰かが盗んだかな。)
B: I think it was Ken. I saw him eating a yoghurt and a banana earlier.
(ケンが盗んだと思うよ。さっき私は彼がヨーグルトとバナナを食べている姿を見たよ。)
A: That woman pinched our table!
(その女性は私たちのテーブルを取りやがった!)
B: There’s another table free over there. Don’t get cross.
(あそこにも空いているテーブルがあるよ。怒らないでよ。)
「trouser」の意味と使い方
もう一つ面白い表現として「to trouser ○○」という言い方があります。一般的にtrousersは名詞で「ズボン」という意味になりますが、動詞として使うと「ものを盗む」という意味になります。この言い方はイギリス英語限定の使い方になります。
この表現の由来は「物を盗みズボンのポケットに隠す」ということから来ています。発音は「トラウザー」になります。少しふざけた言い方なので、一般的には重い罪について話す際等には使いませんが「お金を使いこむ」というニュアンスとして使われます。
trouserの使い方 例文
A: Did you read about the politician?
(あの政治家についてのニュースを読んだ?)
B: No. What happened?
(読んでないよ。何が起きたの?)
A: He trousered £20,000 of public money.
(彼は2万ポンドの公金を盗んだよ。)
A: I left a tenner on the table this morning. Has someone trousered it?
(僕は今朝テーブルの上に10ポンドを置いたんだけど。誰か取った?)
B: I did. I needed to buy some milk from the shop.
(私が取ったよ。スーパーで牛乳を買う必要があったから。)
他の「盗む」という意味になるイギリス英語
他にも同じような意味として以下の動詞があります。
- swipe
- lift
- knock 〇〇 off
- teef
最後の「teef」という単語は元々ジャマイカの単語ですが、イギリスにはジャマイカから来た移民が多いので、ジャマイカのスラングはイギリス英語でも使われるようになっています。
teefは「thief」(泥棒、盗む)という単語が由来です。ジャマイカの発音では「th」が「t」になります。
「盗品」という意味になるイギリス英語
「盗品」は正しい英語で「stolen goods」となりますが、他にも似たような意味のスラングが沢山あります。例えば、loot、booty、hot goodsは全て「盗品」という意味になります。
そして、イギリス英語で「fell off the back of a lorry」(トラックの後ろから落ちてきたもの)という遠回しな表現も「盗品」という意味になります。
fell off the back of a lorryの使い方 例文
A: Mike came to my house yesterday. He offered to sell me a brand-new TV for just £100.
(マイクは昨日私の家に来たのよ。彼は新しいテレビを100ポンドだけで売ろうとしていた。)
B: Don’t buy it. It sounds dodgy. It probably fell off the back of a lorry.
(絶対買わないで。怪しいでしょう。盗品かもしれない。)
それではこれで以上になります。他にもこのサイトで紹介していないイギリス英語について気になる事があれば是非ご質問ください。