カルチャー

イギリス社会で今も残る差別「ジプシー」とは一体どんな人達?

イギリスの社会問題で今も残る差別「ジプシー」とは一体どんな人達?

最も差別されているマイノリティー「gypsy(ジプシー)」の歴史と社会問題を徹底解説


Mairi
Mairi
皆さん、こんにちは。今回の記事では、日本ではあまり知られていない人達である「イギリスのジプシーと社会問題」という少し真面目なお話を紹介したいと思います。


何故、こんな社会的なテーマを書こうと思ったのかと言うと、実はこの間、日本人の友達に「gypsy(ジプシー)って何?」という質問を受けましたので、イギリスの社会問題の一部として当サイトでもジプシーの事について少しお話してみようと思いました。

私には、ジプシーの知り合いはいませんので、ジプシーのカルチャーに関しては無知だったのですが、当サイトの読者の方のために判りやすく真実を書く為にいろいろと調べてみました。

実はこのジプシーという人達はイギリスではかなり差別されています。そして、多くのイギリス人に嫌われている人達です。それでは、何故そういった事がイギリスで起こっているのか?という事を私はしっかりと調べて事実を紹介したいと思います。





イギリスにいる「ジプシー」とは一体どんな人達なのか?


イギリスの社会問題で今も残る差別「ジプシー」とは一体どんな人達?
実はイギリスには「gypsy」と呼ばれる民族が二つあります。一つは「Romani/Romany(日本語:ロマ)」という民族のgypsyです。この民族はヨーロッパ各国に住んでいますが、元々は北インドからやってきた民族だそうです。

歴史は遡り、約1000年程前から、ヨーロッパにやってきたこの遊牧民族はインドや中近東、東ヨーロッパ、南ヨーロッパ、北ヨーロッパまで移動したそうです。現在多くのロマ達は自分達が住んでいる国の言語を話していますが、ロマニー語を話す人もまだいます。

そして、ロマニー語と住んでいる国の言語を混ぜるロマもいます。イギリスではこの民族のことを「gypsy」と呼んでいます。しかし、最近になってこの単語は「差別用語」だという考え方になっているようです。

ロマ民族自身は自分達の事を「Romany」と呼んで欲しいそうです。現在では、約20万人のロマがイギリスに住んでいるそうです。

その中の60%の人は普通の家に住んでいますが、残りの40%はトレーラー(イギリス英語:caravan)に住んでいます。トレーラーに住んでいるロマは現在でも「遊牧生活」を送っています。

つまり、定住地がなく定期的に住んでいる場所を移動して生活しています。ロマは元々インドからやってきた人達ですが、イギリスのロマは殆どの場合、昔のロマよりも肌が白いです。

それは何故なら、昔からロマとイギリス人の結婚がよくあったからです。今現在、多くの場合、人の見た目で「その人がロマかどうか?」という判別はつきにくいです。




Irish Travellers(アイリッシュトラベラー)とは?


もう一つの「gypsy」の種類としては、「Irish Travellers(アイリッシュトラベラー)」という民族がいます。この民族は元々アイルランドからやってきた遊牧民族です。

現在、殆どのTravellerはアイルランドに住んでいますが、イギリスにも大きなコミュニティーがあります。そして、アメリカに移住したTravellerも多くいます。

この民族の由来は不明ですが、13世紀くらいから存在しているそうです。遺伝子の検査によると、この人たちは元々はアイルランド人の血を引いているそうです。つまりアイルランド人なんだそうです。

ですから、最初に紹介したロマとは全く違う人種です。しかし、アイルランドに住んでいる普通のアイルランド人(Travellerではないアイルランド人)とは、また微妙に違う人種です。

何故なら、彼らIrish Travellersは、1000年前くらいからアイルランド人とは別のグループとして存在していたようです。

ロマと同じように多くのアイリッシュトラベラーは普通の家に住んでいますが、それでも大分部はトレーラーに住んでいて遊牧生活を送っています。

Travellerの男性は様々な種類の仕事をしています。例えば、馬のトレーディング、工事、不熟練労働をする男性が多いです。大部分の女性は専業主婦になりますので、実社会との接点は少ないです。






ジプシーが受ける差別・社会問題


イギリスの社会問題で今も残る差別「ジプシー」とは一体どんな人達?

ロマとアイリッシュトラベラーは歴史的に差別されています。例えば、遊牧民族なのにトレーラーを置けるキャンプ場は法律で限定されています。

イギリスのそれぞれの町にはジプシーが使えるキャンプ場がありますが、多くの場合は馬などの動物を飼っていけないというルールがありますので、ジプシーは伝統的なライフスタイルを送る事が難しくなります。

そして、キャンプ場にはちゃんとした水道、トイレなどの設備がない場合が多いので、ここに滞在するジプシー達の健康にも影響を及ぼします。


イギリスの社会問題で今も残る差別「ジプシー」とは一体どんな人達?

一般のイギリス人とは当然違いますので、ジプシーの子供達は学校でかなりいじめられます。その為、早い時期に学校を辞めてしまう子供は多いです。

Travellerの習慣では、女性が20歳になる前に結婚しますので、殆どの場合は高校には通いません。彼らには教育に関する問題がありますので、字が読めないTravellerは少なくありません。

ロマとトラベラーのコミュニティーの中にはDVが大きな問題です。トラベラーの家庭内は「かなりマッチョな社会」という事もあり、奥さんに対して暴力を振るう男性は多いようです。

様々な調査によると、トラベラーは一般のイギリス人よりもDVされる可能性が高いようです。しかし、警察を呼ぶ事は彼らの間ではタブーなので、我慢する女性や子供は多いです。

ロマとトラベラーは、一般のイギリス人よりも収入が少ないので「貧困に直面する」という問題が大きいです。残念ながら一般のイギリス人には「ジプシーは犯人で信用できない」というイメージがあります。

ですから、彼らは一般のイギリス人と一緒に仕事をする機会は少ないです。トラベラーが一般のイギリス人が住む近所にやって来た場合、多くの場合イギリス人は直ぐに彼らをどかそうとします。

つまり、彼らがやってくると、警察や市役所に電話して「何とかして移動させてくれ」と依頼する人が多いです。その為、一般のイギリス人とトラベラー・ロマの間には信用が一切ありません。





トラベラーのドキュメンタリー番組:My Big Fat Gypsy Wedding


トラベラーのドキュメンタリー番組:My Big Fat Gypsy Wedding
2010年にイギリスのチャンネル4というテレビ局は「My Big Fat Gypsy Wedding」という「ドキュメンタリー」番組を初めて放送しました。この番組はアイリッシュ・トラベラーの結婚式、デーティングカルチャーなどを紹介したドキュメンタリーでした。

この番組は凄く人気が出ましたが、多くのロマとトラベラーはこの番組に抗議をしました。それは何故なら「gypsy」という単語でロマとトラベラーという二つの民族を区別しなかったからです。

そして、一部の出演料をもらっているトラベラーのカルチャーしか紹介しなかった事も抗議につながったようです。そして、「酔っ払い」、「頻繁に喧嘩する」、「性別差別の問題」といったネガティブな点ばかり紹介したという意見もありました。


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Irish Travellerが使う英語


アイリッシュ・トラベラーは英語を話しますが、イギリスで生まれて育ったトラベラーでも多くの場合、アイルランド英語の発音が残っています。

そして、トラベラー用語も沢山あるようです。自分達の民族の事を「pavee」と言います。「gammin」はトラベラーが使う方言です。トラベラーは「一般の人」を「settled people」と呼びます。



ロマニー語から来た英語


ロマ民族は長い間イギリスにいますから、多くのロマニー語の単語が英語の「外来語」となったそうです。例としては以下のような単語があります。

  • chav = イギリスの「ヤンキー」
  • lollipop = ペロペロキャンディー
  • pal = 友達(ロマニー語の”あにき”という単語から来た)
  • togs = 洋服



gypsyという差別用語について


この「gypsy」という単語を使うよりも、彼らに対してはそれぞれの民族の正しい名前を使った方が良いでしょう。ロマは「Romany/Romani」、アイリッシュ・トラベラーは「Irish Traveller」という用語になります。

イギリスでは、まだこの差別的な言い方が使われています。例えば、アイリッシュ・トラベラーはよく「tinker」や「pikey」と呼ばれますが、「pikey」は特に失礼だと考えられています。

それでも映画に出てくるときがあります。例えば、「Snatch」というブラッド・ピットが出演する映画には「pikey」という単語が使われています。

この映画では、俳優のブラッド・ピットはアイリッシュ・トラベラーの役を演じています。とても面白い映画なので是非ご覧下さい。





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