イギリス英語でのrの発音、tを発音しない理由、アメリカ英語の発音との比較
嬉しい事に先日、当サイトの読者の方からイギリス英語の発音に関する質問を頂きました。ありがとうございます。頂いた質問内容は短い内容でしたが、テーマに的にも「イギリス英語の発音」に関してだったので、発音に興味を持っておられる読者の方は多いと思いますので、他の読者の方にも情報をシェアーさせて頂こうと思いました。
それでは読者の方に実際に頂いた質問はこちらになります。
読者の方の質問:
いつも楽しくサイトを拝見しています。
イギリス英語だと消える音があると聞いたのですがそれはどんなときですか? あと、reのときとrの後に母音がこないとrの発音はしないって正しいのでしょうか?
先ずはご質問ありがとうございました。そして、当サイトを読んで頂きましてありがとうございます。これはとても良い質問だと思います。
この方が指摘している二つのポイントは(イギリス英語rの発音と消えるTの音)、イギリス英語の発音を聞き分ける為の最も大きなポイントになると思います。
また、イギリス英語の日常会話を聞き取れるようになる為には、「r」の発音と「この消えるT音」について理解するべきだと思います。それでは、先ずはイギリス英語のr発音について話していきたいと思います。
イギリス英語のRの発音について
イギリス英語の「RP」というアクセントは、「non-rhotic」と呼ばれています。「Non-rhotic」というアクセントは、場合によって「r」という子音を発音しないというアクセントです。逆にアメリカ英語は「rhotic」というアクセントです。つまり、必ず「r」を発音するアクセントになります。
また、「non-rhotic」はイギリス英語の「RP」だけではなく、オーストラリア英語、ニュージーランド英語、南アフリカ英語、ジャマイカ英語も、non-rhotic(rを発音しない)のアクセントになります。
しかし、「non-rhotic」だからと言って、rを全く発音しないというわけではありません。例えば、単語の頭文字が「r」であれば、その「r」の発音はアメリカ英語の発音と変わりません。
イギリス英語でrを発音する場合の例
- rabbit
- roof
- red
- risk
- rugby
上記の単語の頭文字は全て「r」からはじまる単語ですが、この「r」の発音は全ての英語圏の国で同じ発音になります。
そして、イギリス英語では「単語の真ん中に出てくるrの音」は、場合によって発音する事もあります。例えば、「r + 母音」というパターンの場合、その「r」をはっきりと発音します。
イギリス英語で単語の真ん中にrがある際の発音例
- carry
- curry
- watery
- frock
- vocabulary
※「y」は母音の発音です。
しかし、イギリス英語では「母音 + r + 子音」というパターンの場合、その「r」は発音しません。
母音 + r + 子音の例
- scarf(スカーフ)
- park(パーク)
- pork(ポーク)
- guard(ガード)
- girl(ガール)
※わかりやすく説明する為にカタカナ表記で解説します。
アメリカ英語の場合、上記の単語の中の全ての「r」の音は発音します。そして、イギリス英語では一般的に単語が「r」で終る場合、その「r」は発音しません。
イギリス英語でrを発音しない場合の例
- car(カー)
- finger(フィンガー)
- hair(ヘアー)
- fair(フェアー)
上記の単語は最後の文字が「r」で終わる単語ですが、その場合「r」は発音しません。アメリカ英語の場合、この「r」は、はっきりと発音します。
しかし、イギリス英語では、単語の最後の文字が「r」で終わる際の発音においても例外があります。例えば、単語を単体で発音する際には、最後の「r」は発音しませんが、文章単位で発音する場合には、単語と単語は繋がって聞こえるという傾向があります。
もし「r」で終る単語を発音して、次の単語が母音から始まる単語の場合、その「r」の発音はします。(rの発音が出てしまう事になる)
イギリス英語を話す人は、この癖に気が付かないと思いますが、ネイティブのイギリス人の英語をよく聞いてみるとこの癖に気が付くと思います。
これは言葉だけで理屈を説明すると難しいと思いますので、実際にリスニングして聞いて確かめる事をお勧めします。それでは、以下にもっとわかりやすい例で紹介していきたいと思います。
例えば、「burger」という単語を例にした場合。説明の為にカタカナ表記になりますが、「バーガー」という発音に近い音になります。
つまり、「真ん中のr」と「最後のr」は発音しません。 しかし、チップス(フライドポテト)を使って例にした場合、「burger and chips」というフレーズの際には「burger」の最後の「r」は発音する事になります。
「真ん中のr」と「最後のr」の発音の例
- burger(バーガー)
- burger and chips(バーガランチップス)
- car 「カー)
- my car is new(マイカーリズニュー)
- hair(ヘアー)
- her hair is beautiful(ハーヘアリズビュティフル)
また、イギリス英語では、もう一つの変則的な仕組みがあります。それは場合によって、単語の最後に「r」がなくても「r」を発音するというケースです。
イギリス英語で「r」を発音するケースの例
- law(ロー)
- law and order(ローランドーダー)
※「law」という単語の最後に「r」はありませんが、次の単語の頭文字が母音になる為、それを繋ぐために「r」の発音が入ります!
イギリス英語では発音しないTの発音、アメリカ英語との比較
イギリス英語を聞いた後にアメリカ英語を聞くと、アメリカ人の話す少し変わった「t」の発音に気が付くと思います。アメリカ英語の日常会話では「t」の発音は「d」の音になるという傾向があります。
そして「t」を全く発音しない場合もあります。例えば、アメリカ英語の発音では以下のようになります。
アメリカ英語の発音の例
- twenty(トゥウェニ)
- butter(バダー)
- water(ウォダー)
※勿論アメリカ英語では「r」は発音をします。
しかしイギリス英語(RP)では、殆どの場合「t」をはっきりと発音します。
イギリス英語の発音の例
- twenty(トゥエンティ)
- butter(バタ)
- water(ウォータ)
イギリス英語の声門破裂音(glottal stop)とは?
イギリス英語の発音には「RPの発音」以外にも色々な地方の発音があります。
その中でもイギリス英語の方言で「t」を発音しない場合が多いです。例えばコックニー英語(ロンドンのローカル方言)には、「glottal stop」(声門破裂音) という音があります。この「声門破裂音」は「t」の代わりに使われています。
参考リンク:(声門破裂音について)
声門破裂音の例
- twenty(トゥウェン・イ)
- butter(バッ・ア)
- water(ウォーッ・ア)
この声門破裂音はカタカナ表記では表現しにくいのですが、イメージとしては「tが抜けた」発音という感じで想像してください! 他にも良い例があります。
- What?(ウォッ?)
- Who’s that?(フーズアッ?)
- Pick it up!(ピッキッ・アプ)
- department(ディパーッメント)
- football(フッボール)
「声門破裂音」は元々コックニーの特徴として知られていましたが、最近は「RP」のアクセントでも使われるようになったそうです。これで以上になります。
他にもイギリス英語の発音やボキャブラリーについて質問がある方は是非メッセージ下さいね^^