ニューカッスルの方言 Geordie(ジョーディ)について詳しく解説
今回の記事では、イギリスの地方の訛りについて色々と話したいと思います。イギリス英語を勉強している皆さんはもうご存知だと思いますが、日本で出版されているイギリス英語の教材は主にRP(=「容認発音」)に近い発音の音声が殆どです。しかし、殆どの場合、一般的なイギリス人は「自分の地方の訛り」で話しています。
イギリスには数多くの地方訛りがありますので、RPしか聞いた事がない日本人の留学生や観光客が初めて「生のイギリス英語」を聞くとびっくりすると思います。
多くの日本人の留学生はロンドンだけではなく、イギリス国中の様々な大学や英語学校に通っています。ですから、イギリスに行く前に自分が滞在する事になる地方の訛りに、ある程度は聞き慣れておく事が重要です。
前回アップした読者の方からの頂いた質問に関する記事では、こういった地方の訛りの話が出てきました。この質問を下さった読者の方は、イギリスの東北にある大学に通っていらっしゃるようで、ルームメートの訛りが強くて聞き取れないと言う事でした。
参考記事:「イギリス人との会話中に「RPで話して下さい」って言ってはいけないのでしょうか?」
そこで今日は、イギリス英語の最もメインの訛りについてクローズアップして、イギリスの地方の町に行った際に日本人の留学生に役に立つ情報を紹介していきたいと思います。
これから紹介していく訛りは「ニューカッスルの訛り」になります。ニューカッスルはイギリスの東北(the north east)地方にある都市です。ニューカッスルの正式な名前は「Newcastle upon Tyne」(Tyneは川の名前)ですが、一般的にイギリス人は「Newcastle」と呼びます。
私の(イングランドの南・中部の方)言い方では、「ニューカースル」という発音になりますが、ここの住民達は「ニューカスル」という発音を使います。
ニューカッスルの住民とニューカッスルの方言は「Geordie」(発音:ジョーディ)と言います。しかし、ロンドンや南の方の人の多くは、全ての東北地方の訛り・人を「Geordie」と呼びます。
この記事ではニューカッスルのカルチャーや歴史は紹介しませんが、興味がある方は是非下記のリンクをご覧ください。私は個人的にNewcastleが好きです。私にはニューカッスル出身の友達がいる為に過去に何回も遊びに言った事があります。ニューカッスルの人々はパブやクラブで遊ぶ事がとても好きです。
ニューカッスルの発音 Geordieの特徴とは?
このセクションでは、Geordie特有の発音を紹介していきたいと思います。Geordieの子音はRPと殆ど変わりませんが、単語によって違いがあります。
例えば「~ing」で終わる単語はRPでは「ɪŋ」という発音になりますが、Geordieの訛りでは「ən」になります。
そして、「リーディング」という単語は通常「リーディング」と言う発音になりますが、Geordieでは「リーデン」に近い発音になります。つまり、「ing」の発音を全く強調しません。逆に短くなります。
Geordieでは、「声門破裂(子)音」がよく使われています。例えば、「button」という単語はRPで「バタン」になりますが、Geordieでは「ブッウン」に近い発音になります。
そして「Pity」という単語は「ピティー」ではなく、「ピッイ」に近い発音になります。※「声門破裂(子)音」はカタカナだけで表す事が難しいです!
母音の特徴
母音は人によって異なる場合がありますが、特に中高年の人の場合「bread」(RP:ブレッド)が「ブリード」という発音になります。
「o」の発音はRPとかなり違います。例えば、「No」という単語はRPで「ネウ」に近い発音になりますが、Geordieでは「ノア」に近い発音になります。「window」という単語はGeordieでは「ウィンダ」になります。
これも人によって違いますが、特に男性は「house」を「フース」というように発音する傾向があります。これは主に男性の癖です。
「ay」の発音は普段「エイ」になりますが、Geordie訛りでは「エー」になります。例えば、「way」は「ウェー」になります。
そして「u」の発音は「ア」ではなく「ウ」になります。例えば、「become」は「ビカム」ではなく「ビクム」になります。「bus」は「バス」ではなく「ブッス」になります。
「ar」の発音は「アー」ではなく「オー」になります。例えば、「far」という単語は「ファー」ではなく「フォー」に近い発音になります。
ニューカッスル特有のボキャブラリー
ニューカッスルは距離的にスコットランドとの国境に近いので、スコットランド語やスコットランド英語の外来語が使われています。他のイングランドの北部の方言と似ているボキャブラリーも使われています。
例えば・・・
- bairn = 子供、赤ちゃん
- clarts = 泥
- claggy = ベタベタしている
- canny = 良い、気持ち良い、良い人
- howay = 行こう!頑張ろう!(特にスポーツチームを応援する際に使う。ニューキャッスルのサッカーチームのファンは「Howay the lads!」というチアリングスローガンを使う)
- divvy/divvie, div = バカ
- netty = トイレ、便所
- mam = ママ
- me = 私の(myの代わりに使う)
最近、ニューカッスルの訛りはイギリス中で人気があります。多くのイギリス人は東北の訛りを聞くのが好きだそうです(私も!)。
これから紹介する有名人は日本ではあまり知られていませんが、イギリスのテレビタレントやミュージシャンなのでイギリスでとても有名な人たちです。
Geordieを聞いてみよう
この動画はニューカッスル出身のCheryl Coleのインタビューです。彼女はオーディション番組で歌手として有名になりました。
そして、美人なので色々なブランドのモデルとしても活躍しています。彼女は元ワン・ダイレクションのLiamのパートナーです。そして、一人息子がいます。
Cherylはアメリカのオーディション番組にジャッジとして出演しましたが、アメリカ人は彼女の訛りが理解出来なかった為に残念ながら番組を降板したようです(笑)。
私は彼女自身に対して強い意見はありませんが、彼女の訛りは素敵だと思います^^。それでは、この動画を観てGeordie訛りの特徴を聞いてみましょう。
Geordie訛りが出るテレビドラマ
私は最近のイギリスのテレビドラマはあまり観ていませんが、昔のイギリスのテレビドラマは、その多くがニューカッスルや他の東北の町が舞台でした。
The Likely Lads
これはとても古いテレビドラマ・コメディーですが、今でも古いエピソードがたまにテレビに放送される気がします(笑)
Our Friends in the North
ダニエル・クレイグとクリストファー・エクルストーンが出演する90年代のドラマです。みんな無理やりGeordie訛りを話しています(笑)。
Geordie Shore
これはテラス・ハウスのニューカッスルバージョンですが、こちらは・・10倍くらい下品な番組です(笑)。
それでは、今回はニューカッスルのGeordie訛りを紹介してみました。皆さんがもしイギリスに行ったら、是非、イギリスの東北地方に行ってみて下さいね!