タバコという意味になるイギリス英語のスラング(俗語)
今回の記事はシリーズ化している「100 Words that Make the English」という本の中で紹介されているイギリス英語らしい単語「fag」というスラングについて紹介してみたいと思います。
このfagという単語はアメリカ英語でも使われていますが、イギリス英語の使われ方や意味、ニュアンスとかなり異なります。
イギリス英語学習者の方はご存じだと思いますが、イギリス英語とアメリカ英語では同じ単語なのに異なるニュアンスで使われている単語があります。
このことからイギリス人と会話する際、アメリカ人と会話する際には、これらの事を理解して使い分けられるようになると良いと思います。
アメリカ英語 fagの意味と使い方
まずは最初にアメリカ英語での「fag」の意味と使い方について説明したいと思います。アメリカ英語のスラングで「fag」は「ゲイの男性」という意味になりますが、この言い方はとても失礼な差別用語になりますので絶対に使わないでください。
アメリカに行って誰かの事を「fag」と呼んだら大変な事になると思いますので使用は控えましょう。
イギリス英語 fagはどんな意味になる?
一方イギリス英語では「fag」という単語は様々な意味として使います。イギリスで「fag」はアメリカ英語と違って別にタブーの言葉にはなりません。
勿論、人を「fag」と呼んではいけませんが、他に色々な使い方がありますので、とくに「使ってはいけない単語」というわけではありません。
スラングの意味でタバコ(名詞)
イギリスでのスラングで「fag」は「タバコ」という意味になります。このスラングは少し男性っぽい言い方になりますので、女性にはあまり使うべきではありません。少し下品な言い方です(笑)。
タバコという意味での使い方 例文:
I smoke 10 fags a day.
(私は一日に10本のタバコを吸っています。)
Let’s go out for a fag.
(タバコを吸いに行こうよ。)
I fancy a fag.
(タバコ吸いてえなぁ。)
It’s time for a fag-break.
(そろそろタバコ休憩を取るよ。)
※イギリス人の事務スタッフやサラリーマンなどのオフィスワーカーは、もしタバコを吸う人であれば、仕事中に「タバコを吸う休憩(fag break)」を取ります。
しかし、イギリスでは職場のビルの中でタバコを吸う事は禁止されているのでビルの外に行く必要があります。「Fag break」とは同僚と一緒に話したり、社内のだれかの噂を広げたりする時間になりますね(笑)。(これは日本でも同様だと思います)
苦労(する)、熱心にやる(動詞・名詞)
この使い方は少し古い使用法だと思います。そして現在でもこの言い方をしている人は「upper class(上流階級の人)」かもしれません。この動詞は「苦労する」や「熱心にやる」という意味になります。
少しネガティブなニュアンスがあるので、楽しい作業をする際に使うべき単語ではありません。どちらかというと、「めんどくさい」というニュアンスが含まれています。
苦労(する)、熱心にやるという意味の使い方 例文:
I fagged away at my homework for 5 hours last night.
(私は昨夜5時間も宿題を熱心にやりました。)
※「fag away at ~」というパターンがよく使われています。
It’s too much of a fag to cook dinner tonight so let’s eat out.
(今夜は夕食を作るのはめんどくさいから、外食しようよ。)
※この「fag」は名詞で「めんどくさい事」という意味になります。
I can’t be fagged.
(私はやる気がない。)
※この表現の代わりに「I can’t be arsed (to do ~)」というフレーズの方がよく使われていると思います。「~をする気がない・~する事はめんどくさい」という意味になります。両方ともかなり下品な言い方です(笑)。
ですから、一般的には「I can’t be bothered (to do ~)」というフレーズの方が丁寧で綺麗な言い方なのでこちらを使いましょう(笑)。
上級生の雑用をする下級生(名詞)
最後の使い方は「パブリック・スクール」(イギリスの寄宿系エリート私立学校)に通った人に限って使われる言い方です。特にイートンなどのエリート私立学校では、昔は厳しい先輩と後輩の上下関係のシステムがありました。
「Fag」と呼ばれる後輩は、先輩のために雑用をする生徒でした。簡単にいうと上級生の「奴隷」のような仕事でした。このシステムはもう現在はされていないらしいですが、「fag」という単語はまだ残っています。
イギリスの元総理大臣、ディビッド・キャメロンはイートン校の卒業生です。彼の副総理大臣(ニック・クレッグ)は、イギリスの新聞やメディアに「David Cameron’s fag」と呼ばれていました(笑)。
このふざけたニックネームは「キャメロン総理のおべっか使い」というニュアンスが含まれています(笑)。つまりクレッグ副総理はキャメロンの命令に対して直ぐに「はい!はい!」という「イエスマン」的な後輩として見られています(笑)。
この為、「fag」や「fagging」は古い単語のわりには、イギリスのメディアで意外とよく使われています。例えば、「fag」(奴隷のような後輩)はイギリスの新聞の見出しにこのように使われていました。
「Louis Theroux claims he was Nick Clegg’s ‘fag’ at public school」
日本語の意味: 「ルイ・セルー※は学校の時にクレッグ副総理の”fag”だったと主張した」
※ルイ・セルーという人物はイギリス人の有名なドキュメンタリーメーカーです。
「Education: Eton Bids Farewell to Fagging」
「教育ニュース: イートン校はfaggingという習慣を止める」