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イギリスの黒人のルーツと歴史「ブラック・ライヴズ・マター」のデモについて

イギリスの黒人のルーツと歴史「ブラック・ライヴズ・マター」のデモについて
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イギリスに住んでいる黒人のルーツや歴史について詳しく解説「ブラック・ライヴズ・マター」のデモ


Mair
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皆さん、こんにちは! 今回の記事では読者の方から頂いた「イギリスの黒人のルーツと歴史」についてお話してみたいと思います。

最近日本のニュースでも大きく報道されていますが、アメリカでジョージ・フロイドという黒人男性が警察によって殺されてしまいました。フロイド氏は、アメリカ人の黒人で警察官はアメリカ人の白人です。

この事件がきっかけになり今現在、アメリカでは数多くのデモや暴動が起きて大変な事になってしまっています。そして、世界中の人達もこの黒人差別に対する暴力を見てショックを受けています。

そのため、他の国でもデモが行われ、アメリカの「ブラック・ライヴズ・マター」という運動を応援している人達が増えています。

そんな中、先週このテーマについて読者の方から質問を頂きましたので、そのきっかけもあり、今回はイギリスの黒人とイギリスでの人種差別というデリケートなテーマについてお話してみたいと思います。


それでは、実際に頂いた質問内容はこちら:


読者の方の質問:


いつもサイトを楽しく拝見しています。今アメリカでは黒人の方が警官に殺されたことで各地でデモが起こっていますよね。

このように、アメリカでは黒人はアフリカから奴隷として連れてこられたという背景があるため、今でも黒人に対する差別が少し残っているようです。

それに対して、イギリスでは黒人にはどのようなルーツがあって、黒人はどのように扱われているのでしょうか。

また、日本人のようなアジア系の人々が、イギリスで差別されてしまうのかどうかということも気になるところです。



先ずはご質問ありがとうございます。そして、いつも当サイトを読んで頂きましてありがとうございます。デリケートな質問になりますが、私はできるだけこの質問を調べて詳しくお話してみたいと思います。

白人である私からはイギリス人の黒人の方の歴史、経験などについて話す権利はあまりないですが、この記事ではできるだけ正しい情報を過去の資料などを参考にしながら紹介したいと思います。

そして、私が紹介出来ない内容が多いので、補足の情報としてお勧めの本、映画、ドキュメンタリーなどを紹介してみたいと思います。

イギリス(またはアメリカ)の黒人の歴史や過去の経験に興味があってもっと深く知りたいという方は、黒人のライター、アーティスト、監督などが制作した作品を直接に見た方より色々な事が理解出来るようになると思います。

それでは、イギリスの黒人の歴史とルーツを紹介していきたいと思います。





イギリスに住んでいる黒人はどのくらい長く住んでいるのでしょうか?


イギリスに住んでいる黒人はどのくらい長く住んでいるのでしょうか?
実は歴史を遡るとローマ帝国時代の頃からイギリスにアフリカ系の人達が住んでいます。イギリスにあるローマ時代の遺跡を分析した結果によれば、これらの遺跡にはアフリカで生まれた人達が住んでいた痕跡が残っているそうです。その当時のアフリカ系の人達はもしかすると奴隷か軍人だったという見解があるそうです。

そして、16世紀になると大金持ちの貴族の人達は黒人の奴隷や使用人を雇っていたそうです。ヘンリー八世の宮殿には黒人のミュージシャンがいました。

当時、イギリスと西アフリカは貿易を行っていましたので、アフリカの人がイギリスにも度々やって来ていました。この人達の中には船員として労働していた人達や奴隷としてイギリスに連れていかれた人もいました。

16世紀~17世紀にかけて、イギリスには数百人のアフリカ系の人達が住んでいたそうです。そして、イギリスは17世紀~18世紀の頃、アメリカとヨーロッパで行われていた大西洋奴隷貿易で大きな役割をしていました。

当時、数多くのアフリカ人がイギリス人のプランテーションオーナーや、商人によってカリブの島やアメリカに送られました。そして、そのような影響もあり、イギリスの大きな港町にもアフリカ人の労働者や船員が数多く住むようになりました。

イギリスの最も歴史の長いアフリカ系コミュニティーはリバプールにあります。リバプールには、歴史の長い中国人のコミュニティーもあります。リバプールは当時、イギリスで最も栄えていた港町でした。

殆どの大西洋奴隷貿易の船はリバプールから出発していました。1833年になりイギリスは奴隷制度を廃止しました。



現在のイギリスの黒人コミュニティーのルーツについて


現在のイギリスの黒人コミュニティーのルーツについて
イギリスのアフリカ系コミュニティーの歴史は長いですが、現在のイギリスの黒人コミュニティーのルーツは少し違います。

1950年代くらいまで、イギリスの白人以外のコミュニティーはとても少なかったです。1948年頃には、約20,000人の黒人がイギリスに住んでいました。

第二次世界大戦後に、イギリスでは深刻な労働者不足が発生していました。経済を回復させるために、イギリスの政府は元植民地の国の人達をイギリスに招き入れました。

その国とは、カリブ諸国、インド、パキスタンと言った国々の人達です。彼らにイギリスに住んでもらって働く権利を与えました。1950年代頃までに約250,000人のカリブの人達がイギリスに移住しました。

その世代の黒人は「The Windrush Generation」と呼ばれています。その理由としては、多くのカリブ人達は「HMT Empire Windrush」という船に乗ってイギリスにやって来たからです。

その世代の黒人移民の国籍は、ジャマイカ、バルバドス、トリニダード・トバゴなどのカリブの国からやって来ました。殆どの人達はアフリカ系ですが、黒人とインド人のハーフ、黒人の白人のハーフ、黒人と中国人のハーフもいました。カリブの人は昔から色々な人種が混ざっています。

現在のイギリス人は、人口の約3%程が黒人です。その中の50%くらいの人達にはカリブのルーツがあり、残りの50%くらいの人達は直接アフリカから移住しています。

アフリカから直接イギリスにやって来た人達は色々な国の人が多いです。例えば、ガーナ、ナイジェリア、ソマリア、スーダン、ジンバブエなどのアフリカの国からやって来た人がいます。






イギリスの黒人は人種差別を受けていますか? 他の人種への差別はある?


イギリスの黒人は人種差別を受けていますか? 他の人種への差別はある?
イギリス人の黒人もアメリカの黒人と同様に人種差別を受けています。しかし、時代が変わると人種差別のやり方も形を変えてきます。例えば、1950年代にやって来た「The Windrush Generation」の人達は酷い人種差別を受けていました。

彼らはイギリスの政府によって誘われてやってきた移民にも関わらず、住む場所を見つける事も出来なければ、激しい差別用語を受けて生活していました。

当時の民泊ホテルやアパートには多くの場合「No blacks, no dogs, no Irish」(黒人、アイルランド人、犬も禁止)という看板が貼ってありました。

彼らがようやく住む場所を見つけたとしても、白人が住む場所より汚く家賃が高い物件ばかりでした。そして、仕事は首になりやすかったですし、犯罪者のように疑われる場合が多かったです。

また、黒人と白人の結婚もとてもタブーでした。1970年~1980年代までイギリスでは非常に厳しい不況の時代でした。イギリスの経済はとても悪く多くの人達が仕事を失いました。

その不況は当然のように貧しい黒人コミュニティーにも悪影響を与えました。その時にデモや暴動がたくさん行われました。とても大変な時期でしたが、そういったデモや暴動の影響もあってイギリスの政府は人種差別対策をスタートさせました。

現在のイギリスでは、ヘイトスピーチや人種差別は「犯罪行為」にあたりますので、直接、差別用語を言ったり、露骨に差別する人はかなり少なくなっています。しかし、勿論現在でも人種差別はまだ存在しています。

現代のイギリス人の黒人は毎日「マイクロアグレッション(非常に微細な差別攻撃)」を受けていると思います。例えば、イギリスで生まれた育った黒人が「あなたは何処から来たの?」などの質問を聞かれる事はありますし、警察には白人よりも黒人は止められる(職務質問)確率が高いです。

そして、高級なグッズを販売しているお店に入る黒人は白人よりも警備員に警戒されます。そういった「マイクロアグレッション」を毎日受けると「自分は違う」という事を毎日感じてしまうと思います。

そして、未だに悪口を言ったり、暴力行為をしたりする人もごく稀に残っています。それは「黒人に対する差別」というだけではなく、白人以外のどの人種でも受けるような事だと思います。

最近、新型コロナウイルスの影響もあり、イギリスでは中国人やアジア系のイギリス人達が差別や暴力を受けているようです。そして、イスラム教の女性は髪の毛や顔を隠す習慣がありますので、そういった女性も差別のターゲットになります。

残念ながら、イギリスの人口の87%以上は白人のイギリス人なので、未だにこういった人種差別は残ってしまっています。それでも、99%のイギリス人は差別しないですし、人種を関係なく人に対して優しく接する人が多いと思います。

ですから、「イギリスに行ったら差別されるだろう」と思っているなら、心配しないでください。

多くのイギリス人は外国人に対して優しく接する人が多いと思います。結局はどの国に行っても嫌な人、差別的な行動をする人、攻撃的な人は少なからず存在していると思います。

ですから、そういったくだらない嫌な奴ら達だけみてその国の事を判断する事はもったいない事だと思います。差別する人がいる以上に心優しい人も大勢いるはずです。





イギリスの黒人を理解する為のお勧め本、映画、動画


イギリスの黒人を理解する為のお勧め本、映画、動画
冒頭でもお話したように、イギリスに住んでいる黒人の意見、立場を理解したい場合、黒人のライター、アーティスト、監督などが作った作品をみるとより理解が深まると思います。

そして、人種差別を反対しているという方は、マイノリティーのアーティストやビジネスパーソンを応援する事はとても良い作戦だと思います。これから、私がお勧めする黒人作家・アーティストの作品を紹介していきたいと思います。

残念ながら、日本語で書かれた小説などは少ないですが、出来るだけ読みやすい・分かりやすい作品を紹介してみたいと思いますので、機会があれば是非ご覧ください。


スモール・アイランド


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私は以前にこのテレビドラマ・映画を紹介した事があります。1950年代のイギリスが舞台のストーリーです。ジャマイカのある男性は戦後イギリスに渡って白人の女性と恋に落ちます。

彼が受ける差別と当時のイギリス社会が主なテーマです。この作品の小説もお勧めです!このドラマはU-NEXTという動画サービスでも観る事が出来ます。

U-NEXT公式サイト


興味がある方は是非スモールアイランドの小説も読んでみて下さい。

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ベル―ある伯爵令嬢の恋


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この映画はリアルストーリーに基づいています。ベルという女性のキャラクターは、ジャマイカで生まれた黒人と白人のハーフです。彼女の父親はイギリス人の貴族で母親は黒人の奴隷でした。

ベルは父親の叔父(William Murray, 1st Earl of Mansfield)と彼の奥さんと一緒にイギリスで住むようになります。ベルは貴族のレディーとして育てられます。



Black and British: A Forgotten History

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残念ながらこの本は英語版しかないと思いますが、「全てのイギリス人が読むべき本」だと言われている作品です。この本はとても詳しくイギリスの黒人の歴史を深く紹介しています。

著者はナイジェリア系イギリス人のDavid Olusoga氏です。この本は色々な賞を受賞しました。



イギリスの黒人のヒーロー達


現在のイギリスは様々な人種の人が混ざっていますので、色々な人種の有名な俳優、スポーツ選手、音楽のアーティスト、ライターなどが活躍しています。

そして、歴史の中でとても重要な黒人のイギリス人がいます。これから、イギリスの歴史の中で最も重要な黒人を紹介したいと思います。


看護師 Mary Seacole(メアリー・シーコール)


Mary Seacole (発音:メアリー・シーコール)は、1805年にジャマイカで生まれましたが、父親はスコットランド人の軍人で母親はジャマイカ出身でした。母親は看護師のように病人の面倒を見る仕事をしていました。

メアリーは母親の影響で医学に興味をもち、50歳の頃にクリミア戦争で戦場に行き、怪我をした軍人の手当てを行う仕事をしました。世界で最初に「看護師」という仕事を始めた人して考えられています。





サッカー選手 Viv Anderson(ヴィヴ・アンダーソン)


Viv Anderson (発音:ヴィヴ・アンダーソン)はイングランド代表サッカーチームの中で初めての黒人選手です。彼のイングランド代表デビューは1978年でした。彼はとてもハイスキルなディフェンダーでした。

イングランド代表だけではなく、彼が所属するチームはヨーロッパの「ユーロピアン・カップ」(現在のチャンピオンズリーグ)で優勝しました。


作家 Bernardine Evaristo


Bernadiine Evaristoは、ブッカー賞(文学賞)を初めて受賞した黒人作家でした。2019年に受賞した作品は「Girl, Woman, Other」といいます。この小説のメインキャラクターは主に(イギリスの)黒人の女性です。





クリケット選手 Roland Butcher


Roland Butcherは初めてのイングランド代表クリケット選手でした。彼は1980年にイングランド代表チームでデビューしました。彼はバルバドスで生まれましたが、13歳の頃にイギリスに移住した。

彼はバッターとして活躍していました。Roland Butcherのバッティングスタイルはとても「スタイリッシュ」と言われていました。


イギリスで初の黒人女性国会議員 Diane Abbott


Diane Abbottはイギリスで初めての黒人女性国会議員でした。彼女は現在でも労働党(Labour Party)の議員として活躍していましたが、初めて国会議員になったのは1987年でした。

彼女は初めての黒人女性国会議員ですが、イギリスでは初めての黒人国会議員という訳ではありません。最初の黒人男性の国会議員はJohn Stewartという人物です。

John Stewartは、1832年に国会議員になりました。彼は黒人と白人のハーフでカリブではプランテーションのオーナーでした。




まとめ:イギリスの黒人のルーツと「ブラック・ライヴズ・マター」のデモ


まとめると、イギリスに住んでいる黒人の歴史はとても長いです。黒人のイギリス人は人口の中に3%しかいませんが、イギリスのカルチャーや歴史にとても重要な影響を与えています。

残念ながら、現在でも人種差別は残っていますが、最近の「ブラック・ライヴズ・マター」のデモが社会を変えるきっかけになればよいと思います。

イギリス社会の黒人に対する考えとアティチュード、アメリカ社会の黒人に対する考えとアティチュードがかなり違うと思います。

イギリスにいる黒人は主に1950年代から移民としてやってきてイギリスに住んでいます。アメリカ人の黒人は多くの場合アメリカで奴隷であったルーツがあります。そのため、イギリスよりも複雑な歴史があります。

アメリカの黒人に対する考え方を理解したいなら、「13th」というドキュメンタリーをお勧めしたいと思います。私は最近たまたまこのドキュメンタリーを観て、とても勉強になりましたし、とても感動しました。




アメリカ人の黒人は特に権利のためにまだ戦う必要があると思います。他の質問があれば、是非ご連絡くださいね^^

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