英語の省略形は正式なライティングで使える? 正しい英語の省略形の使い方と使い分けを詳しく解説
今回のテーマである「wanna」(want to)、「gonna」(going to)、「gotta」(have got to)。これらは全ては「省略形」ですね。この記事では、読者の方の質問に答えながら、省略形の種類と正しい使い方を詳しく解説していきたいと思います。
それでは、実際に読者の方から頂いた質問を見てみましょう。
読者の方の質問:
いつも楽しく見させていただいてます。
省略形についての質問なのですが、I’mやThat’sなどの普通に学校で習うような形と違って、gonna, wanna, gottaなどの形は標準的ではないから使うべきではないと習った記憶があるのですが、実際に英語のドラマや映画等を見ていると、逆に省略形のオンパレードで、省略せずに使われるケースの方が珍しいという感じだったので、混乱しています。
なので、英会話で一般的に使われている省略形について列挙した上で、それらがスラングのようなものではなく、普通に会話で使っていいものなのか、そして、省略しない形は話し言葉ではどのような場面で使われるのかを、一つ一つ教えていただけないでしょうか。
先ずはご質問ありがとうございます。そして、当サイトをご覧頂きありがとうございます。
頂いた質問の「英語の省略形」はとても面白いテーマだと思いますし、他の英語学習者の方にも役に立つ情報になると思いますので、出来る限り詳しく説明してみたいと思います。
英語の省略形の二つの種類について
読者の方がおっしゃったように、英語には「二種類の省略形」があります。先ずは学校で覚える「formal contractions」(正式な省略形)があります。例えば、「he is」 ➡「he’s」、「cannot」 ➡「can’t」といったよく見かける省略形です。
このような省略は全ての英語圏の国で使われていますし、外国人向けの英語の教科書などで紹介されています。こういった省略形は長い間使われていますし、英語辞書にも載っている「正式」なものです。
一方、「gonna」(going to)、「wanna」(want to)、「gotta」(have got to)といった言い方は「informal contractions」(カジュアルな省略形)と言います。ネイティブのカジュアルな会話・ライティングで使うスペルです。
英語のフォーマルなライティング(フォーマルなビジネスレターや大学の論文、真面目な新聞記事)では、全体的に省略形を避けた方がよいと思います。
例えば、大学の論文等では「it’s」や「can’t」といった省略を使用しない事が当たり前です。そういったフォーマルなライティングでは全ての単語を省略せずに書くべきです。
しかし、カジュアルなライティング(ファッション雑誌の記事、友達や親戚への手紙など)では、省略形を使っても大丈夫です。
例として、ある二種類の新聞記事の比較をしてみましょう。以下の両方の記事はイギリスのGuardianという新聞を例にしています。一つ目の記事は「Politics」(政治)というセクションから取りました。
この記事をスキミングすると分かると思いますが、ライターは自分のレポーティングには省略形を使う事を避けています。
例えば、このライターは「would’ve」という省略ではなく、「would have」を使っています。しかし、これにも例外があります。
例として「誰かが言った事」を引用する際には省略を使う場合があります。それは何故なら、レポーティングの記事では「本人の話し方をそのまま文章化」しているからです。
もう一つの例は、「Opinion」(意見)というセクションから取った記事です。この記事のテーマは「旅行」で、ライターの個人的な意見と経験についての記事です。
この記事はあまりフォーマルなライティングスタイルではありませんので、省略形がよく出てきます。例えば、「they’d」、「I’ll」といった省略が出てきます。
しかし、このようなカジュアルな新聞記事でさえ「gonna」や「wanna」といった省略は使われていません。
何故、wanna、gonna、gottaはライティングでは使わないのか?
先程もお話ししたように、「wanna」、「gonna」、「gotta」は単純にカジュアルな会話の発音を表す言葉です。「he’s」「let’s」などの省略は発音だけではなく、スペルの省略です。
「‘」は抜いた文字の代わりに入れるシンボルですが、「wanna」は実際のスペルの省略ではありません。「wanna」などは単純にそのままのカジュアルな発音のスペルです。
英語ネイティブは友達とSMSやメールを交換する際に時々「wanna」などのカジュアルな省略を使いますし、SNS(ツイッターなど)に時々出てきますが、一般的に「wanna」はスピーキングで使う省略になります。
そして、小説家は時々キャラクターの話し方のスタイルを表現する際に「wanna」、「gotta」などの省略を使っています。小説家はキャラクターまたはナレーターの「アクセント」で書く場合があります。
例えば、「Trainspotting」という小説は舞台がスコットランドなので、ナレーターとキャラクターは全員スコットランド英語の訛りで話します。Irvine Welshというライターは「Trainspotting」を書いた時に「スコットランド訛り」をスペルで表しました。
例えば:
“Thuv goat tae dae it aw fir thumsells.”
(They’ve got to do it all for themselves.)
ですから、「wanna」、「gotta」、「gonna」などの省略はこれと同じようにネイティブのカジュアルな会話を表すスペルです。ですから、スピーキングで使える発音ですが、ライティングで使う省略ではありません。
「wanna」、「gotta」、「gonna」はいつか正式な省略形になるのか?
もしかすると、将来的に「wanna」、「gotta」、「gonna」などの省略はいつか「正式な省略形」になる可能性もあります。実は現在使われている「正式な省略」は17世紀ごろからライティングで使われ始めたそうです。
その当時、そういった省略形は当時の発音の変化に基づいていたそうです。つまり、省略形はずっとライティングで使われていたわけではありません。そして実は「wanna」と「gonna」は英語の辞書に載っています。
単語が辞書に掲載されるようになれば、「正式な単語」として認められているという事です。しかし、「wanna」と「gotta」はまだまだ「カジュアルな省略」として考えられていますので、ライティングでは使わない方が良いと思います。
質問を下さった方がおっしゃるように「省略がオンパレード」という事なら、ドラマのキャラクターの話し方をスペルで表しているだけだと思います。
まとめ:「wanna」、「gonna」、「gotta」の使い方
まとめると、「wanna」、「gonna」、「gotta」はとてもカジュアルな発音の省略なので、英語のライティングで使わない方が良いです。例外として、SNSや友達へのカジュアルなメール・SMSでは使う事があります。
そして、小説・ドラマのキャラクターなどの話し方を文章化する際にも使う事があります。
「正式な省略」(won’t、haven’tなど)は長い間英語で使われていますので、カジュアルなライティングで使ってもOKですが、フォーマルなライティングでは使わない方がいいと思います。
日常英会話では、どんな省略を使っても大丈夫です^^ もちろん、会話相手やTPOを考えた方が良いと思いますが、殆どの日常会話では、「wanna」、「gonna」などの発音を使ってもオッケーです!
他にもイギリス英語に関して知りたい事、イギリスの文化、英語の勉強に関する事で質問したい事があれば、是非ご連絡くださいね^^