clockを含むイギリス英語のスラング・イディオム表現
皆さんもご存じの「clock」という単語は、当然「時計」という意味だとお考えの方は多いと思いますが、実はこの「clock」はイギリス英語で「時計」以外の他の意味もあります。
そして、イギリス英語のスラングとしての使い方もありますので、イギリスの映画やドラマなど観ると出てくると思いますので、自身がスラングを使わなくとも一応は意味は覚えておくと役に立つと思います。
それでは、「clock」(時計以外で)はイギリス英語でどういった意味になるのでしょうか?
「殴る」という意味になる「clock」の使い方
昔のイギリス英語のスラングで、「clock」は「顔」という意味でした。現在は「clock」を動詞として使うと「人の顔を殴る」という意味になります。
現在では「顔」という意味になる「clock」の使い方は廃れてしまいましたが、「殴る」という意味になる「clock」の使い方はまだ健在です。
そして、このスラングはイギリスだけではなく、オーストラリア英語とニュージーランド英語でも使われています。この動詞は「to clock 人」や「get clocked (by 人)」というパターンで使います。
それでは、実際のイギリス人の「clock」の使い方を例文で確認してみましょう。
「殴る」という意味の「clock」の使い方 例文
A: What’s going on? Was there a fight?
(何が起きたの? 喧嘩があったの?)
B: Yeah, the barman got clocked by a drunk customer.
(そうだよ。バーテンダーは酔っ払いの客に殴られたんだよ。)
A: What happened to your face?
(顔はどうしたの?)
B: Some block clocked me.
(奴に殴られたんだよ。)
「気づく」、「見る」という意味になる「clock」
もう一つの「clock」の使い方は「気づく」や「見る」という意味になります。このスラングは元々アメリカ英語のスラングだそうです。しかし、現在はアメリカ英語よりもイギリス英語の方が使われています。
この表現の由来は残念ながら不明ですが、おそらく刑務所で出来たスラングなのではないかと考えられています。日常会話で、「目に入る」や「物に気がつく」というニュアンスで使います。それでは、実際の使い方を例文で確認してみましょう!
「気づく・見る」という意味のclockの使い方 例文
A: Woops, I went over the speed limit there!
(あら! 今制限速度を超えちゃったんだ!)
B: You’d better slow down. I clocked a police car just now.
(スピード落とした方がいいよ。今パトカーを見たよ。)
A: Why aren’t there any fit women in here?
(なんでここに可愛い女性がいないのだろう?)
B: There are. I just clocked one by the bar.
(いるよ。バーで1人の可愛い子を見たんだよ。)
「走行距離計」という意味になる「clock」の使い方
イギリス英語では、「clock」は「走行距離計」という意味にもなります。「走行距離計」の正しい言い方は「odometer」になりますが、その正式な言い方をするイギリス人は殆どいないと思います。
一般的に多くのイギリス人は「clock」か「milometer」と言います。そのことから、「too many miles on the clock」や「a few miles on the clock」といったイディオムが出来ました。
「too many miles on the clock」は「年を取った」、「老けている」という意味になります。結局、このイディオムは「時間が経った」というニュアンスを与える表現になります。それでは、実際のイギリス人の使い方を例文で確認してみましょう。
「走行距離計」という意味の「clock」の使い方 例文
A: Is your new car second-hand?
(あなたの新しく買った車は中古車ですか。)
B: Yeah, but it only had 5,000 miles on the clock.
(そうですが、5,000マイルしか走っていなかったんですよ。)
A: How are your hips? Are they still sore?
(股関節はどうですか。まだ痛みますか。)
B: Yes, but it can’t be helped. I’ve got a fair few miles on the clock!
(まだ痛いですが、しょうがないね。私はいい歳だからね!)
その他のclockに関連する表現
上記で紹介した「clock」の使い方はイギリス英語特有の使い方になりますが、他にも「clock」に関連した別の使い方が沢山あります。例えば。
「to clock in」という表現は「出勤する」という意味になります。この言い方は「タイムカードを押す」という表現が元になっています。
逆に、「to clock off / out」という動詞は「退出する」という意味になります。「to be on the clock」という表現は「仕事中」という意味になります。
そして、他の表現として「to clock ○○kph」という言い方があります。これは「アスリートの記録」や「車の速度」について話す際に使う言い方になります。そして「登録する」という意味もあります。
これ以外にも「clock their first win」という表現もあります。例えば、チームが初優勝するという際にはこの言い方を使います。
最後は、「dandelion clock」という表現です。これは「タンポポの綿毛で覆われた頭部」というちょっと変な意味になります(笑)。
綿毛が付いているタンポポが「dandelion clock」と呼ばれる理由としては、たんぽぽの綿毛は、昔から英語圏の国の子供の間で「時計として使える」という噂があるからです。
これは子供の遊び方なので、もちろん事実ではありませんが、それを信じている子供も沢山いると思います(笑)。たんぽぽの綿毛を時計として使いたい子どもは、タンポポを取って、綿毛を吹いて綿毛を吹き飛ばします。
そして、全ての綿毛が飛んでいくまで何回息を吹きかけたのか? その回数によって「今の時間」を知る事ができるという噂です。
例えば、3回吹いて綿毛が全てなくなった場合には、「今は3時だ」という事になります(笑)。そのことから、綿毛が付いているタンポポの事を「dandelion clock」といいます。
「clock」の他の使い方の例文
A: What time did you clock in this morning?
(今日は何時に出勤しましたか。)
B: I clocked in just before 9.
(9時少し前に出勤しましたよ。)
A: Let’s go for a beer after we clock off later.
(仕事が終わったらビールを飲みに行こうよ。)
B: Good idea.
(いいね。)
Tanaka clocked up his first goal of the season.
(田中は今シーズンの初ゴールを決めました。)
まとめ:「clock」の時計以外の意味と使い方について
まとめると、「clock」は「時計」以外の意味と使い方がいくつかあります。イギリス人は「to clock」という動詞を使うと「気づく」、「殴る」という意味になります。
そして、「出勤する」という意味の表現は「to clock in」という言い方になります。「退出する」は「to clock out/off」という言い方になります。イギリス英語に関する質問があれば、是非ご連絡くださいね!