イギリス英語でよく使う直喩表現とはどんなイディオムの種類なのか?
今回の記事では、イギリス英語で使われている「直喩表現」を紹介してみたいと思います。
この「直喩表現」とは、英語で「simile」(発音:セィミリ)と言います。 Simileとは、「like」や「as~as」のような「比喩を表す語を用いる修辞法の一つ」になります。
英語の日常会話では、simileが非常によく使われています。そしてこれは、スラング・イディオムの一つの種類といっていいと思います。多くのsimileは英語圏中で使われていますが、中には”イギリス英語特有”のsimileもあります。
そこで今回の記事では、イギリス英語特有のsimileを中心に紹介したいと思います。
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1. fit as a butcher’s dog
意味:体が丈夫
直訳:肉屋さんの犬と同じくらい丈夫
このイディオムを日本語に直訳すると、かなり変なイメージを想像すると思いますが、語源としては「肉屋さんが飼っている犬は毎日沢山の肉を食べているから体が丈夫」であるというような考え方から来ているイディオムだと思います。
実際の例文:
I might be almost 70 but I’m as fit as a butcher’s dog. I played tennis for three hours yesterday!
(私はもう直ぐ70歳だけど、とても体が丈夫だよ。私は昨日3時間もテニスをやっていたよ!)
I have finally recovered from my operation. I’m as fit as a butcher’s dog now!
(私はやっと手術から回復した。私は今とても丈夫で元気です!)
2. a face like a bulldog chewing a wasp
意味: 顔が不細工な
直訳: ブルドッグがスズメバチを食べちゃったような(不細工な)顔をしている
これはとても変なイディオムですね!ブルドッグはもう既に「ブサイク」な顔をしていますが、さらにスズメバチを食べてしまうともっと嫌な顔をするでしょう!
そのような変なイメージから来ているイディオムです。簡単に言うと「不細工」という意味になります(笑)。
勿論、これはとても失礼な表現ですが、イギリスのコメディー番組やドラマに出てくる可能性がありますので紹介しておきました(笑)。
実際の例文:
Pete asked me out but I said no. He’s nice enough but he’s got a face like a bulldog chewing a wasp.
(ピートは私をデートに誘ったけど、私は断った。彼は嫌な人じゃないけど・・顔がブサイク。)
He’s a brilliant actor but he’s got a face like a bulldog chewing a wasp.
(彼は素晴らしい俳優ですが顔はブサイクだね。)
3. happy as a pig in shit/mud
意味: とても幸せ、満足している
直訳:泥に入っている豚と同じくらい幸せ
このイディオムは二つの言い方があります。「shit」(=糞)は下品なバージョンですが、「mud」(=泥)のバージョンはどのシーンでも使えるくらい安全な表現です(笑)。
豚の好きな環境は「泥に入っている状態」というイメージから来ている表現です。つまり、「泥に入っている豚は幸せで満足している」=「とても幸せ・満足している」という意味になります。
実際の例文:
My son just passed his driving test. He’s as happy as a pig in mud!
(息子は今、運転免許を取ったばかりです。彼はとても幸せです!)
I’ll tell him the news. He’ll be as happy as a pig in mud!
(私は彼にそのニュースを伝えるよ。彼はそれを聞いてとても幸せになるだろう!)
4. face like a wet weekend
意味: 不機嫌な顔
直訳: 雨がずっと降っていた週末のような顔
せっかくの週末に雨がずっと降っていると、どんな人でも不機嫌になりますよね。このイディオムはそういったイメージから来ていると思います。
天気の悪いイギリスならではのイギリス英語っぽいイディオムですね!
実際の例文:
What happened? You’ve got a face like a wet weekend!
(どうしたの?あなたは凄く不機嫌な顔をしているよ。)
My husband is always so grumpy! He constantly has a face like a wet weekend.
(私の旦那はいつも不機嫌だよ!彼はずっと不機嫌で嫌な顔をしている!)
5. bent as a nine bob note
意味: 怪しい、犯人
直訳: 9シリング札と同じくらい怪しい
1971年にイギリスの貨幣は現在のポンド・ペンス式になりましたが、その前に「shilling」(=12ペンス)というシステムがありました。1ポンド当たりに「20シリング」ありました。
「9シリング札」は存在しなかったため、「9シリング札と同じくらい怪しい」という表現が使われるようになりました。ちなみにこの表現は現在でも使われています。
そして他にも貨幣に関するスラングがあります。「bob」はシリングのスラングで、「note」は「~札・紙幣」という意味になります。
ちなみに、アメリカ英語では「queer as a $3 bill」という似たような表現があるようです。
実際の例文:
Don’t buy anything from Dave. He’s as bent as a nine bob note.
(デイヴから何も買わないで。彼はとても怪しい犯人っぽい奴だよ。)
I bought a designer bag from that man but it turned out to be a fake. He’s as bent as a nine bob note.
(私はあの男性からデザイナーズバッグを買ったけど、偽者だった。彼は犯人だよ。)
以上、今回はイギリス英語特有の「直喩表現」である「simile」(セィミリ)を紹介してみました^^ イギリス英語のユニークなイディオムに興味があれば、私が書いた「British English Idiom Master」というebookはお勧めです (笑)。