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クラシックなイギリス映画「フル・モンティ」から見られるイギリスの歴史とイギリス英語の地方のアクセントについて分析
今回の記事では、私が大好きなハートフルなコメディ映画「フル・モンティ」(英語:The Full Monty)というイギリス映画を紹介したいと思います。
この映画は1997年に始めて上映されましたが、クラシックなイギリス映画として知られているので、現在でも楽しめる映画だと思います。
フル・モンティはコメディー映画ですが、感動させるシーンが沢山ありますので、観ているうちに笑ったり泣いたりするような場面がいくつか出てくると思います^^。

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「フル・モンティ」のあらすじ
この映画の舞台になっているシェフィールドは、イギリスのヨークシャー州(北部)の大きな都市です。その昔、鋼鉄産業で盛んだった都市ですが、不況の影響で多くの鋼鉄工場が潰れてしまいました。
そのため、男性の失業者がとても増えました。ガズとデイヴという二人の男性は、まさにその典型的な失業者です。ガズは奥さんと別れてしまい、自分の息子とは時々しか会えません。
デイヴは子供がいませんが、自分が無職の状態になっている事に落ち込んでいて、奥さんとの関係も少し悪くなっています。そして、デイヴはかなり太っていますので自分の体にコンプレックスがあります。
ある日、ガズとデイヴは近所の「ワーキング・メンズ・クラブ※」の前を通ります。そこからは、女性の「キャーキャー」と騒ぐ声が聞こえてきます。
※working men’s clubとは、労働者クラブ:パブとミュージックホールを合わせたような労働者階級の男性対象のクラブ
どうやら、そのメンズクラブでは「Chippendales」というメンズストリッパー団体がパフォーマンスをしているようです。デイヴの奥さんもメンズストリッパーのパフォーマンスを見ているようです。
次の日に「Job Club」(日本のハローワークのような場所)でガズとデイヴはメンズストリッパーの話をします。
彼らはストリッパーが一晩のパフォーマンスだけで1万ポンド稼いでいるという事に気がつき、自分達も出来そうだなと考えます。ガズとデイヴは鋼鉄産業で働いていた失業者達を集めて自分のストリップチームを作ろうとします。

ガズとデイヴが作ろうとしているチームはダメな男性ばかりが集まってきます。彼らはまるでストリッパーとは程遠いようなスタイルです。棒のように細い男性や50歳をゆうに過ぎた男性、お腹の突き出した男性など・・・。
デイヴは特に体にコンプレックスがあるので、この計画を何度も辞退しようとします。
ある日、彼らはダンスの練習中に突然警察がやってきて「変態行為」という疑いで逮捕されてしまいます(笑)! そんなトラブルを潜り抜けて彼らはやっと地元の女性達の前で楽しいパフォーマンスが出来る日を迎えます。
「フル・モンティ」に出てくるイギリス英語について
先ずこの映画のタイトルの「The full monty」という表現はイギリス英語のスラングで「全てのもの」や「全部」という意味になります。
もっと簡単にいうと「スッポンポン」という意味になります(笑)。
この映画の舞台はシェフィールドなので、キャラクターは全員ヨークシャー訛りで話しています。
私は昔ヨークに5年間ほど住んでいましたので、ヨークシャー訛りについて慣れていますが、この訛りに慣れていない英語学習者にとっては少し難しいかもしれません。
それでは、フルモンティーを見る際に役立つ、ヨークシャー特有の発音、癖、ボキャブラリーを紹介したいと思います。
この映画に出るヨークシャーボキャブラリーはこちら:
- ey up! = あれ?!(挨拶として使う場合もあります)
- int’it = isn’t it (付加疑問)
- aye = yes
- chuffing = クソ~
- give over = 辞めて
- summat = something
- lass = 女性、女子
- ta = thank you
- brass = お金
- learn = teach
- nowt = nothing
実は、ヨークシャー訛りの発音は普通のRPイギリス英語とは少し違います。そして、母音の発音が少し違います。
例えば、RPやイギリスの南部の発音では「bath」や「staff」、「laugh」などの単語は「アー」という発音になります。
カタカナ発音でいうと「バース」、「スターフ」、「ラーフ」という発音になります。しかし、ヨークシャーの訛りでは「バッス」、「スタッフ」、「ラッフ」という発音になります。
ヨークシャー訛りの発音では「u」という発音も少し変わります。「up」という単語はRPで「アプ」になりますが、ヨークシャーの訛りでは「ウップ」か「オップ」に近い発音になります。
「cup」は「クップ」、「mum」は「ムッム」というようになります。
「H」から始まる単語の場合には、「h」の発音が抜ける場合が多いです。例えば、「here」は「’ere」になり、「he」は「’e」になります。
カジュアルなヨークシャー会話では「be動詞の人称」が変わります。
映画の台詞で「That were our Jean」(=それはジーンだっただろう?!)という台詞がありましたが、そこでは「were」という「間違った」be動詞が使われていました。
一般の英語では、それが「was」になるはずですが、ヨークシャーの会話で「were」になります。
上記に紹介したヨークシャー英語の単語以外にも当サイトで紹介したボキャブラリーが沢山出てきますので、この映画を観ながら知らない単語があれば過去の記事を探してもらえれば出てくると思います。
参考:「フル・モンティの台詞」
ところで、ガズというキャラクターの役を演じる俳優(ロバート・カーライル)はスコットランド人なので、彼は映画の為にシェフィールド訛りを真似する必要がありました。
自分の方言ではないのに、彼のシェフィールド訛りはとても上手でした。ロバート・カーライルは「トレインスポッティング」という有名な映画にも出演しました。
「フル・モンティ」を観る方法
この映画はもう20年前にリリースされましたので殆どの映画ストリーミングサービスで観る事が出来ると思います。私はAmazonプライム・ビデオ
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