英国紳士の手本!?「野望の階段/ハウス・オブ・カード」の俳優「イアン・リチャードソン」を徹底分析
それでは、実際に頂いた質問内容はこちら:
読者の方の質問:
いつも楽しくて勉強になる記事をありがとうございます。私はすでに社会人ですが、英国に興味を持ち、イギリス英語を勉強しています。
BBC制作の「野望の階段/ハウス・オブ・カード」という作品はご存知でしょうか?
この作品の主人公、フランシス・アーカートを演じるイアン・リチャードソンの話し方、振る舞い、歩き方など、これこそが英国紳士ではないかと思わせられるほど深く感銘を受けました。
私もあんな英国紳士に憧れます。しかし、今の時代において彼のような話し方や振る舞い方は時代遅れでしょうか?真似するのは危険ですか?
先ずはご質問ありがとうございました。そして、いつも当サイトを読んで頂きましてありがとうございます!
まず英国の紳士の話をする前に「野望の階段/ハウス・オブ・カード」というテレビドラマと、イアン・リチャードソンのキャラクターについて少しお話してみたいと思います。
このテレビドラマを観た事がない読者の方もいらっしゃると思いますので、まずはそちらの作品の概要を紹介したいと思います。
英テレビドラマ「野望の階段(ハウス・オブ・カード)」とは?
この「野望の階段/ハウス・オブ・カード」(英語:House of Cards)とは、BBCによって作られたテレビドラマです。1990年に初めて放送された作品なので、かなり古いドラマです。
そして、当時、このドラマはとても人気が出ましたし、レビューも良かった事もあり、現在でも「アイコニックなドラマ」として考えられています。イギリスの政治界を理解したいなら、このドラマはお勧めです。
「ハウス・オブ・カード」は主にロンドンのダウニング・ストリートが舞台です。ダウニング・ストリートとは、イギリスの総理大臣の公邸です。
そして、このストーリーの時代は当時の「マーガレット・サッチャーが辞めた後」となっています。つまり、当時の保守党の「権力の空白」を語ったストーリーです。
主人公は「フランシス・アーカート」という政治家です。彼は「Chief Whip」という仕事をしています。「Chief Whip」とはイギリスの政府の「院内幹事長」という職業です。政治家が法案を投票する際の管理を行う仕事です。
フランシス・アーカートの役を演じる俳優はイアン・リチャードソンという俳優です。フランシス・アーカートはとてもずるいキャラクターです。
彼は自分が弱いと思っている総理大臣にアドバイスを与えますが、フランシス・アーカートは次の総理大臣の座を狙っています。
そのため、パワーを得るために色々なずるい作戦を使います。アーカート氏は若いジャーナリストと浮気して彼女を通して新聞記事の書き方やニュースへの影響、悪い噂を広げたり、ゆすりを行う事もあります。
はっきり言うと、フランシス・アーカートはとんでもなくずるいキャラクターです(笑)。実は、このドラマは「ハウス・オブ・カード」という小説に基づいたストーリーです。
そして、フランシス・アーカートというキャラクターはシェイクスピアの作品の「マクベス」と「リチャード三世」にかなり影響されたそうです。
この二つの作品には、権力を狙っているキャラクターが登場します。2013年にはアメリカ版の「ハウス・オブ・カード」というドラマが放送されました。アメリカ版も小説に基づいていますが、アメリカの政治界が舞台になっています。
イギリス人俳優 イアン・リチャードソンとは?
イアン・リチャードソンは1934年にスコットランドのエジンバラで生まれました。彼は14歳の頃から舞台に出演していたそうですが、その当時「このキャリアで成功したいなら、スコットランド英語の訛りを捨てないと成功は無理」と監督に言われたそうです。
そのため、彼は「発音トレーニング」を受けて、色々なアクセント・訛りが使い分ける事が出来るようになりました。ドラマスクールを卒業した後に、Royal Shakespeare Companyに入りました。
リチャードソンは「ハウス・オブ・カード」で最も有名になりましたが、元々はシェイクスピエア俳優の専門家です。彼はとてもハイスキルな舞台俳優でした。
そのため、「フランシス・アーカート」というキャラクターは、リチャードソンにぴったり合いました。彼はアーカートの役を演じた際に「シェイクスピアの最もずるいキャラクターからインスピレーションを得た」と語っています。残念ながら、イアン・リチャードソンは2007年に亡くなりました。
イアン・リチャードソンの「英国紳士度」について(笑)
イアン・リチャードソンは元々スコットランド人なので、元々はスコットランド英語のアクセントで話していました。しかし、先ほども触れたように、俳優のキャリアのためにできるだけRPを学んでRPアクセントで話すようになりました。下記のインタビューでは本人が自分の話し方について語っています。
そして、フランシス・アーカートのキャラクターを演じた際には「わざとアッパークラスなRPアクセント」を使って役を演じていました。
そして、言葉遣い、動き方、マナーなどは「権力に執着する悪者」を思い起こさせるパフォーマンスで演じています。アーカートというキャラクターは「ずるい」、「腹黒い」と言われています。
その為、リチャードソンはわざと「シェークスピア劇の悪漢」の役を演じました。そのことから、フランシス・アーカートというキャラクターは、あまり真似しない方が良いと思います(笑)。
話し方はとても正しいRPのイギリス英語ですが、雰囲気は全体的に「悪者」なので、それを真似したら少し変に思われると思います(笑)。
英国紳士に憧れているなら、「モダンな英国紳士」をイメージにした方が良いと思います。私はイギリス人女性なので「イギリス紳士になる方法」についてはあまり考えた事はありませんが、ラッキーな事に興味深いイギリス紳士に関する記事を見つけました!
これはとても長い記事なので、最も重要なステップを要約して紹介します^^
- 人のためにドアを開けてあげる
- 犬のしつけができる
- 髭はオッケーだが入れ墨はNG
- 何も言わない方がいい時を理解できる
- 教育レベル(学歴)を自慢しない
- どんな場面にも合うスーツを持っている
- 人と食事をする際に携帯の電源を消す
- 時間通りに待ち合わせする
- ウェイターなどのサービス業の人に優しい
- ブラを片手で外せる(笑)
- ベジタリアンではない(❓笑)
- サンダル必ず履かない
- 「高慢と偏見」を読んだ事がある
イギリス紳士になる方法のまとめ
私は最も面白いステップしか要約していませんが、まとめると「人に対して気を使い、自慢話しないで、どのシーン・場面でも自信がある態度」という事だと思います。
私の意見では「紳士」は話し方よりも、マナーと行動がポイントになるのではないかと思います。しかし、「典型的な紳士」のイメージが好きであれば、コリン・ファースはモダンな紳士の良い例だと思います。
彼はマナーが良くて、話し方がきれいで、おしゃれすぎないと思います。そして、実際にとても優しそうな人だと思いますよ^^
実は「Country Life」というイギリスの雑誌では、コリン・ファースは「2017年の英国紳士」という賞を受賞しました(笑)。理由は、「チャーミング、優しい、謙遜な人」だそうです^^
以上になりますが、頂いた質問にちゃんと答えられたでしょうか?他の質問があれば、是非ご連絡くださいね^^