イギリス人歌手 アデルの英語発音の特徴
今回の記事は、いつもとちょっと違った視点の記事を書いてみたいと思います。
皆さんは、アデル(Adele)というイギリス人の歌手はご存知ですか? 彼女は現在、世界中でとても人気のあるアーティストです。
アデルの本名は「Adele Laurie Blue Adkins」といいます。彼女は1988年にロンドンで生まれました。現在までに彼女は多くの音楽賞を受賞しています。
例えば、グラミー、ゴールデン・グローブ、アカデミー賞などを受賞しています。彼女は現在、イギリスで最も有名なアーティストかもしれません。
私はちょうど昨日、日本人の友達にこのような質問を聞かれました。
「アデルは歌を歌うときにイギリス英語で歌っているでしょうか?イギリス英語の特徴は出ますか?」
最近、私は忙しくて大好きな音楽を聞く時間があまりないので、その場でアデルについての質問に即答する事は出来ませんでした(笑)。
アデルの歌い方についてあまり考えた事がないので、その質問に答えるために私は色々調べて当サイトの記事にする事にしました。
アデルの歌い方はイギリス英語? それともアメリカ英語?
そこで私は最近人気のある「Hello」という歌を聴いて彼女の発音を分析してみました。やはり、イギリス英語の発音というよりもアメリカ英語の発音に近いです。
アデルは、「r」が入っている単語をアメリカ英語の発音で歌っています。
例えば:
- other side
- heart
- apart
- how are you
- where
以上の単語を発音する際に、「r」をはっきりと発音しています。アデルはロンドン出身なので、元々のロンドンの発音を使った場合、それらの「r」は発音しません。
代わりに前の母音を伸ばすだけです。例えば、イギリス英語の「heart」は「ハート」になりますが、アメリカ英語では「ハールト」になります。アデルはこの歌詞を歌う際にアメリカ英語の「ハールト」になっています。
そして、アデルが歌っている母音も少しアメリカ英語っぽいと思います。「And」はイギリス英語の「アンド」ではなく、アメリカ英語の「エアンド」になります。他の例にも同じような事が確認出来ます。
しかし、完全にアメリカ英語というわけではありません。「California」という単語を発音する際に、「カリフォーニア」という発音で歌っていました。
アメリカ英語の発音では、真ん中の「r」をはっきり発音し、「カリフォルニア」になります。もしかして、その単語に「r」が入っているという事を忘れてしまったかな?(笑)
この歌には、特にイギリス英語的なボキャブラリーはないので、その点でイギリス英語とアメリカ英語の違いはありません。
はっきり言うと、私がアデルの事を知らずこの歌を聞いたら、アメリカ人の歌手だと思ったかもしれません。
実は、多くのイギリス人は歌を歌う時にイギリス英語のアクセントが消えて、少しアメリカ英語っぽくなります。オーストラリア人の歌手もそうなります。アイルランド人もそうなります。
これはよく知られている現象です。しかし、それらの歌手は別に「アメリカ人を真似しよう」としているわけではありません。
また「アメリカ人のファンにアピール」しようとしているわけではありません。そうなってしまう理由の一つに、歌を歌う時に話す時に使うアクセント、イントネーションなどが薄くなります。
母音を伸ばしたり、二重母音が単母音になったりするそうです。そのため、イギリス英語の母音はアメリカ英語の母音に近付いてしまいます。
例えば、イギリス英語(RP)の「no」の「o」は二重母音です。発音記号で書くと「nəʊ」(「ネウ)」になります。
アメリカ英語の「no」は「noʊ」(「ノウ」)になります。しかし、イギリス人が「no」と歌う際、母音を伸ばして「ノウ」になります。つまり、「アメリカ英語の発音」になります。
アデルはどうして「r」をはっきり発音する事にしたのか分かりませんが、「かっこよく聞こえる」や「聞き取りやすくなる」などの理由でそのように歌っているのかもしれません。
アデルの話し方は元々ロンドンの「コックニー」に近いアクセントになります。
それでは、アデルの話し方を聞いてみましょう:
インタビューを聞いて、アデルのアクセントの特徴が分かりましたか?
彼女の発音の特徴はこちら:
1. (13秒)「I was really excited」
ロンドン(コックニー)の訛りの特徴は「声門破裂音」です。アデルが「excited」という単語を言う際に「t」を発音しません。代わりに声門破裂音を入れます。
つまり、「エキサイテッド」ではなく、「エキサイイッド」という発音になります。他にも沢山の例があります。
2.[36秒)「In rehearsal on the Saturday」
アデルは単語の最後の「l」を「w」の発音にしています。これもロンドンの訛りの特徴です。「Rehearsal」の発音は「リハーサウ」になります。
しかし、イギリスのRPアクセントでは、「l」をもっとはっきり発音します。他の例として、「well」や「emotional」等があります。
3. (1分10秒)「I didn’t ask you」
アデルの「didn’t」の発音は「ディン」になります。このような省略はロンドンのアクセントの特徴です。
多くのアメリカ人はアデルの話し方を初めて聞くとびっくりするそうです。何故なら、歌っている時の声はとてもパワフルで上品なので、普通の会話の時のローカル訛りを聞くと驚くそうです(笑)。
逆にアデルの話し声は「awesome」で「sexy」とも呼ばれた事もあります!
参考記事:Grammy Awards: Americans baffled by Adele’s accent
私はアデルのインタビューを観て、「面白くて楽しそうな人だ!」と思いました。凄く有名で成功していますが、まだ謙遜するし、自虐的な人だと思います。私はアデルの事が好きです^^