イギリス英語のタブー? Knackered
今回の記事では、読者の方から頂いたイギリス英語のある単語に関する質問に答えてみたいと思います。今回の質問は「knackered」というイギリス英語のスラングに関する質問です。
では、質問はこちらです:
読者の方の質問:
こんにちは。いつも楽しく拝見しています。イギリス人ネイティブの方が日本語で懇切丁寧にイギリス英語の指南をしてくれるウェブサイトなんて、ありそうでなかなかないですよね。大変勉強になります!
ところで質問なんですが、先日イギリス人男性の友人と話している最中、私が「knackered」という言葉を使ったところ、「その単語はtoo strongだから、特に子供の前では使っちゃいけないよ」と軽くたしなめられました。えっ私ってば今まで知らずに下品なスラング使ってたの?!とパニックになりました。
これまで在英十数年、言葉遣いにうるさいイギリス人にも注意されたこともなく、昔ビタミン剤の広告で駅構内に堂々と「KNACKERED?」と書いてあったくらいだし、Mairiさんの「knackered」についての記事でもカジュアルに使う(下品ではない)スラングだとありますし。
色々検索したところ、「なぜか女性がこの単語を使うとたしなめるイギリス人男性がいる」「語源が馬の去勢から来ている」などの記事も見つかりました。
実際のところ、女性が「knackered」を使うのは下品だという意見についてどう思いますか?
ご質問ありがとうございました。そして、いつも当サイトを読んでくれてありがとうございます^^
では、「knackered」という単語はどれくらい下品なのでしょうか?
先ずは、その単語の意味と使い方をもう一度クローズアップしましょう。
Knackeredの使い方と意味・ニュアンスについて
「Knackered」は「tired」(=疲れた)と同じ意味ですが、「tired」より”もう少し強い”意味になると思います。形容詞として使いますので、一般的には下記のような使い方になります。
それでは、例文で確認していきましょう。
使い方の例:
I’m knackered.
(私は超疲れたわ。)
You must be completely knackered!
(あなたはめっちゃ疲れただろう!)
I was knackered after work on Friday.
(私は金曜日に仕事が終わった後、とても疲れたよ。)
実は、私は以前に別の記事で「knackered」という単語を少しだけ紹介しました。しかし、その記事では「下品な感じではない」と紹介しましたね。
そして、その記事での内容は厳密に言うと「嘘ではありませんし、正しい情報」になります。
しかしこの記事をあらためて見返してみると、もうちょっと親切に詳しく説明すればよかったのかもしれませんね^^ ちょっとだけ誤解を招いてしまうような書き方だったのかもしれません。
ですから、今回はもっとニュアンスまで含めた使い方や言葉のルーツも合わせて紹介していきます。
参考記事:「Tired(疲れた)はイギリス英語で何と言うんですか?「Knackered」等のスラングを紹介」
実は、私も「knackered」という単語をよく使います。私の考えでは別にこの単語を使ったからといって「下品な女」と思われる事はないと思います(笑)。
他の英語ネイティブ(イギリス人も含め)と比べると、私の言葉遣いは丁寧な方かもしれません(笑)。
例えば、私は自分の親の前で必ず「罵り言葉」のような言葉使いはしません。そして、他の人や友達ほど「罵りの言葉やスラング」などは使わないと思います。
以上の事から、私の意見では、「knackered」はスラングの中ではソフトな方だと思います。例えば例として、私は自分の家族と話す際に「knackered」という単語を使ってもオッケーだと思っています。
「knackered」という言葉のルーツとニュアンス
次は、「knackered」という言葉の由来を見てみましょう。
「Tired(疲れた)」という意味の「knackered」は”形容詞”として使いますが、元々は「knacker」という動詞から来たと思います。
「knacker」は動詞として使われる事は滅多にありませんが、「殺す」(とくに歳を取っていてもう使えない馬を殺す)という意味になります。
もう一つの意味は「去勢する」という意味になります。「knacker」は名詞として使う事も出来ます。
名詞として使うと主に「馬関係」の使い方になります。例えば、「老いぼれた馬」、「廃馬処理業者」といった意味などです。
馬が歳を取って、もう働けなくなると、「the knacker’s yard」(=馬の処理場)に連れて行かれます。つまり、「馬が疲れすぎてもう使えないので殺す」といったニュアンスです。
このイメージから、「疲れた」という意味の「knackered」が出来上がったかと思います。つまり、私が「I’m knackered」という英語フレーズを使った際には、「自分が老いぼれた馬と同じくらい疲れた」や「私はもう使えない馬だ!」というイメージを表現しています。
あまり綺麗なイメージの表現ではありませんが、「言えないくらい下品」ではないと思います^^。
多分、読者の方のイギリス人の友達は「去勢する」という意味の「knacker」を考えているんだと思います。その場合に限っては、勿論女性は言えませんね(笑)。
「knackers」は時々「睾丸」という意味として使われていますので、そういう風に考えたら確かに「下品で女性が使えない」という事にもなります。
しかし、私が知っている限り、イギリス人が使う「knackered」(疲れた)は馬の話から出来たスラングなので、「男性でも女性でも」使う事が出来ると思います。
もっと詳しく知りたいなら、下記のリンクを読んでみてください。「knackered」という言葉の由来が説明されています。
参考サイト:「Knackerの言葉の由来」
そして、小さい子供の前でスラングを使わない方がいいかもしれません。その場合には「knackered」よりも「very tired」や「exhausted」、「worn out」の方が正しい英語なので、そういう表現を使った方がいいでしょう。
しかし、友達と一緒に話す際には「knackered」は別に問題ないと思います。私の意見では、下記の単語は英語で最も「タブー」の罵りの言葉です。
そして、下記に紹介する単語は「下品さ」の順番に並べてみましたので、参考になるかもしれません。
1. cunt (=女性の性器)
これは最もワーストな言葉です。これはまだまだ新聞やテレビに出てこないくらいタブーな単語です。
2. fuck
日本人もこの言葉を知っていると思いますが、とても強い罵りの言葉です。とても下品ですが、喧嘩する時には使われています。
テレビや映画でよく使われていると思いますが、イギリスでは夜の9時前にこういった言葉が含まれる映像は放送されません。
そして、こういった罵り言葉が入るような映像には必ず「This programme contains strong language」という注意が番組の前に放送されます。
3. shit
(=クソ)これはとても下品な意味ですが、言っちゃいけないくらい下品ではないと思います。友達と話す際には使えますが、女性がこういう単語を言い過ぎると、とても下品に見えると思います(私は自分の親の前でこの単語を使った事がありませんが)
4. piss
以前にこのサイトでも使い方を紹介しましたね。
参考記事:「イギリス英語スラング:「piss」、「Pissed」、「Piss off」、「a piss-up」の意味、使い方」
この単語には色々な使い方がありますが、結構下品な単語なので職場などでは使わない方がいいと思います。
その他にも色々な下品なスラングがありますが、「1と2」の単語に関しては最も気をつけた方がいいと思います。1は特にタブーです。そして、私はこのリストに「人種差別用語」を入れていませんが、人種に関わるスラングは100%必ず言ってはいけません。
ちなみにこのリストを続けて書いた場合、順番として「knackered」は100番くらいになると思います(笑)。そのくらいの感じです^^
以上、今回の記事では「knackered」のさらに突っ込んだ使い方やルーツ、ニュアンスについて紹介しましたが、ちゃんと質問に答えられましたでしょうか?
私の意見では「knackered」は綺麗なスラングではないですが、「女性が言っちゃいけない」ほど悪くないと思います。
多分、お友達に単語のルーツを説明したら、「確かにそんなに悪くないな」と言ってくれるかもしれません^^ 他の質問があれば是非ご連絡くださいね^^