「ローズの秘密の頁」を観た際の感想と映画のあらすじと英語を紹介
この映画は2016年に初上映された作品ですが、2008年に出版された小説に基づいたストーリーです。この作品はアイルランドの映画なので、キャラクターの話し方はイギリス英語ではなく「アイルランド英語」です。しかし、アイルランドとイギリスの歴史やカルチャーにはとても近い関係があります。
ですから、イギリス英語やイギリスのカルチャーに興味を持っている方にとってもアイルランド映画はとても面白いのではないかと思います。この映画の舞台は「第2世界大戦」です。
アイルランドは戦争の頃「中立国」だったのですが、中にはイギリスのために戦地で戦いに行くアイルランド人もいました。そういったアイルランド人は同国人にかなり嫌われていました。
その歴史は「ローズの秘密の頁」という映画作品において重要なポイントになるので先に説明しておく必要があると思いちょっとだけ紹介しました。
実は「ローズの秘密の頁」という映画のレビューはあまりポジティブではありませんでした。しかし、私はこの作品を観てとても感動しました。
私自身は個人的にお勧めできる映画だと思いましたので、作品のあらすじと映画中に出てくる英語、カルチャーポイントなどを紹介してみたいと思います。
ローズの秘密の頁のトレーラー
それでは、「ローズの秘密の頁」とはどんな映画作品なのでしょうか? 最初にあらすじから紹介してみたいと思います。
「ローズの秘密の頁」のあらすじについて
この映画は主にアイルランドのスライゴ州が舞台になっています。現在と過去のストーリーが同時に語られています。主人公はローズ・クリアという女性です。現在のローズの役を演じる女優はヴァネッサ・レッドグレイヴで、1940年代のローズの役を演じる女優はルーニー・マーラです。
お年寄りのローズは現在精神病院にいます。彼女は「自分の子供を殺した」という罪で数十年間病院に閉じ込められています。しかし、ある優しい医者(グリーン先生)は彼女が、過去にそのような罪を犯していないという事を信じ、ローズの過去のストーリーに優く耳を傾けてくれます。
1940年代のローズは戦争の影響によって、北アイルランドから中立国のアイルランドに避難します。ローズは母の姉の「プランティー夫人」と一緒に寝泊まりして、その叔母さんのカフェで働きます。
1940年代のスライゴ州はとても保守的で古臭い環境です。ローズは目立たないようにしていますが、容姿が可愛い女性なので地元の男性たちの注目を自然と集めてしまいます。
そんな時にローズの事を気に入ったある男性達の中に二人の重要なキャラクターがいます。一人目はカトリック神父の「ゴーント神父」、もう一人は店の店員の「マイケル・マクナルティ」です。
ゴーント神父はカトリック神父なのでローズに手を出す事は出来ませんが、とてもしつこくストーカーのようにローズにくっつきます。マイケルは逆にチャーミングで優しい男性なので、ローズは段々と彼の事を好きになっていきます。
マイケルはイギリスの空軍がアイルランド人を募集しているというニュースを聞いて空軍に入る事を決意します。しかし、他の地元の男性は「マイケルがイギリスのために戦う」という事を耳にして彼を「裏切者」と呼びます。
その一件でマイケルは町でかなり嫌われ者になりますが、ローズは彼が戦地から帰ってくる事を待つという約束します。
そんなある日、ローズは飛行機の事故を目撃します。彼女が事故にあったパイロットを探しに行くと、それがマイケルだと分かります。マイケルはパラシュートを使って飛行機から脱出しましたが、大変な大怪我をしてしまいます。
ローズはマイケルを救出して、地元の男性たちの目からマイケルの身を隠します。マイケルとローズはさらに恋に落ちて二人は内緒で結婚する事にします。
しかし、マイケルとローズの秘密はストーカーのゴーント神父にバレてしまいます。マイケルは逃げようとしますが、町の男性たちに追いかけられます。ローズはゴーント神父と厳しいプランティー婦人(叔母さん)の手によって精神病院に行かされる事になります。
彼女の「罪」は「女子色情症」です。ローズは精神病院にいる間に妊娠が発覚します。そのため、別の「シングルマザーのホーム」に行かされる事になりました。彼女が身ごもったその赤ちゃんが「ゴーント神父の赤ちゃんだ」という噂が広がりました。
ローズは妊娠10か月の時にそのホームから逃げ出しました。しかし、ゴーント神父は執拗に後を追いかけてきます。そして、彼女はいきなり外で赤ちゃんを産んでしまいました。ゴーント神父はそんな状況のローズと赤ちゃんを発見します・・。
この赤ちゃんはこの後、一体どうなってしまうのでしょうか? ローズはゴーント神父にどんな目にあわされてしまうのでしょうか? 赤ちゃんの命はどうなってしまうのでしょうか?
これ以上ストーリーのエンディングを教えてしまうと映画を観る価値がなくなってしまいますので、あらすじの話はここで終わります!(笑)
1940年代のアイルランドのカルチャーポイント
アイルランドの文化や歴史についての知識をあまり持っていないと、このストーリーは少し分かりづらいポイントがあると思います。
ですから、映画をもっと深く理解できるように色々なアイルランドのカルチャーポイントを紹介したいと思います。
先ずは、アイルランドは主にカトリックの国です。現在のアイルランドは「宗教離れ」の傾向がありますが、今でも「約80%」くらいの国民が自分を「カトリック」と呼んでいます。
1940年代のアイルランドはもっと宗教的な考え方が強かったです。そして、カトリックの神父はアイルランドにおいてかなりパワフルな存在でした。
そのため、映画に登場するゴーント神父というキャラクターは、勝手にローズを精神病院に行かせる事が出来ました。その当時のアイルランドでは、地位の高い神父は若い女性よりも圧倒的に力が強かったのです。
そして、ゴーント神父はカトリックの神父なので結婚できませんでした。ですから、彼はローズに対する気持ちを抑える必要がありました。そのため、ストーカーのようにローズを追いかけまわしていましたが、手を出す事は許されませんでした。
1940年代のアイルランドは主にカトリックの人が多かったのですが、プロテスタントもいました。ローズとマイケルはプロテスタントでした。イギリスも主にプロテスタントなので、当時のアイルランドでは、「アイルランド人のプロテスタントは怪しい」と思われていました。
その当時の多くのアイルランド人のカトリック信者は「プロテスタントはイギリス人だ」と思っている人が多かったです。アイルランドは1937年にイギリスから独立しました。
そういった経緯もあり、1940年代のアイルランドでは「反イギリス」の気持ちがまだ残っていました(今でもある程度残っているではないかと思います!)。そのため、プロテスタントのマイケルがイギリス空軍に入った時に「裏切者」と呼ばれてしまいます。
「ローズの秘密の頁」に出る英語について
この映画に出る俳優・女優は主にアイルランド人ですが、他の国の俳優も出ます。例えば、ルーニー・マーラはアメリカ人で、ゴーント神父の俳優はイギリス人です。しかし、みんなこの映画の為にアイルランド英語の発音を使っています。
私の個人的な意見では、この映画に出るアイルランド英語はあまり強い訛りではありませんので、イギリス英語に慣れている人はこの映画のセリフを理解できると思います。
映画を観た後にスクリプトを全て読んでみましたが、イギリス英語やアイルランド英語特有のボキャブラリーは殆どありません。そのため、映画のセリフは意外と分かりやすいと思います。
「ローズの秘密の頁」を観る方法
私はこの映画をU-NEXTで観ましたが、他の映画ストリーミングサービスもこの映画を出していると思います。アマゾンのPrime Videoで有料で観れます。
そして、ローズの秘密の頁は日本語字幕ありのDVDもリリースされています。
冒頭でもお話したように、この映画のストーリーは小説に基づいています。私もまだその小説は読んでいないのですが、いつか読んでみたいと思っています。
映画は小説のストーリーよりも細かいディテールをカットする必要がありますので、小説の方がより細かいニュアンスが入っていると思います。
残念ながら小説は日本語版は出ていないと思いますが、英語版はこちらになります。是非頑張って英語で読んでみて下さいね。
「ローズの秘密の頁」のまとめ:
まとめると、この映画作品はとてもハートフルで感動させる映画でした。アイルランドとイギリスの歴史とカルチャーに興味のある方はこの映画をきっと気にいると思います。
ダイアログは全てアイルランド英語(訛り)ですが、アイルランド英語特有のスラング・口語などはあまり入っていませんので、アイルランド英語のアクセントに慣れてくると分かりやすいと思います。
そのため、イギリス英語の学習者の方にもお勧めします! イギリス英語やイギリスの歴史、カルチャーなどについての質問があれば、是非ご連絡くださいね^^