アメリカ英語は昔のイギリス英語に似ている? アメリカ英語の由来とは?

アメリカ英語は昔のイギリス英語に似ている? アメリカ英語の由来とは?
目次

イギリス英語とアメリカ英語の歴史的な関係と進化・由来

皆さんこんにちは。今回の記事では、読者の方から頂いた「アメリカ英語の由来・ルーツ」、「イギリス英語の歴史、アメリカ英語の歴史」に関する質問に答えてみたいと思います。

実は私は「言語学のオタク」なので、今回頂いたテーマは大変興味深く面白いテーマだと思います(笑)。今回の記事を書くにあたって、色々な情報を調べながら読者の方の質問に答えてみました。

それでは、読者の方から頂いた質問はこちらになります:

読者の質問

昔(30年前)、仕事でロンドンに2年間ほど駐在していたこともあり、懐かしくまた楽しく本サイトを拝読しております。ところで質問です。

学生のころ聞いた話ですが「アメリカ英語、特に発音はイギリスのある地方の英語に過ぎない」と云う事でしたが、これは事実でしょうか? もちろんイギリスの清教徒がメイフラワー号でプリマスに入植したことは歴史の時間に習いました。

それで当時の人々はイギリス英語を話していて、その後数百年に渡って変化をし今のアメリカ英語になったのでしょうか、それとも私が聞いたようにアメリカ英語は実際にイギリスのある一部の英語(方言または訛り?)で、今でもイギリスのある地方ではアメリカ英語のような発音で英語を話しているのでしょうか?

先ずは、ご質問ありがとうございました。そして、当サイトを読んで頂きありがとうございます。

アメリカ英語の由来に関するテーマはとても面白い内容だと思います。多くの言語学者はこのテーマについて研究していますので、リサーチすると情報は沢山出てきます。

メイフラワーに乗ったピルグリム達が話していた英語とは?

現在、イギリス英語とアメリカ英語の最も大きな発音の違いは「r」の発音です。現代イギリス英語の殆どの地方方言では「r」が発音されません。

例えば、「car」は「カー」になって、最後の「r」が発音されません。しかし、アメリカ英語の殆どの地方方言では「カール」に近い発音になります。

つまり、最後の「r」がはっきりと発音されます。多くのアメリカ人が、現在「r」を発音する理由としては ”アメリカへ移籍した昔のイギリス人も「r」を発音していた”という事が理由になっています。

アメリカ英語は昔のイギリス英語に似ている? アメリカ英語の由来とは?

メイフラワーという船は1620年にイギリスのプリマスからアメリカへ向かいました。その船に乗っていた人たちは”当時のイギリス英語”を使って話していました。

当時のイギリス英語と現代のイギリス英語は大分違います。メイフラワーに乗っていた「ピルグリム」は「r」をはっきりと発音していました。そして、「r」の発音だけではなく、母音の発音も現在のイギリス英語やアメリカ英語と違います。

それ以外にも、ピルグリムたちが使っていたボキャブラリーや表現も現在のイギリス英語・アメリカ英語と違います。

今となっては私達、現代人はメイフラワーに乗ってアメリカへ向かったピルグリムたちの正確な発音は分かりません。何故なら、その頃の音声を正確に記録した情報はありません。

しかし、彼らがメイフラワーに乗ってアメリカへ向かった時代は、丁度シェイクスピアの時代でした。シェイクスピアにも同じ事が言えますが、勿論、彼の音声を記録したものは現在に当然ありません。しかし、彼が演劇に使った英語は言語学者や歴史家によって、かなり研究されています。

ですから、シェイクスピアが書いた内容を分析すれば、「その当時のイギリス英語の発音が分かる」という事になります。シェイクスピアの演劇には「言葉遊びやライム(rhyme=韻踏む言葉)」や、「独特なスペル」が数多く使われています。

ですから、シェイクスピアが書いた内容を分析している研究者達は、そういった当時の資料を元に当時の人達の発音を何となく理解する事が出来ているという状況です。

以上の事から、シェイクスピアの英語発音が分かれば、メイフラワーに乗ったピルグリムたちの英語の発音も大体分かってきます。ピルグリムたちが使っていた当時の英語の発音は、現在のアメリカ英語が元になっています。

今、多くの演劇所はシェイクスピアの演劇を演じる際に「original pronunciation」(=当時の発音)を使っています。下に紹介している動画を観れば、シェイクスピア時代(つまり、当時のイギリス・アメリカ英語)の発音を聞く事が出来ます。

イギリス人である私の立場から観ると、これは「現在のアイルランド英語とイングランドの南部の英語のハーフ」のように聞こえます(笑)。やはり、「r」の発音は、はっきりしていますね。

A Midsummer Night’s Dream (当時の発音)

1620年にアメリカへ向かった人たちは上記の動画に出てくるような発音を使っていました。彼らはその英語をアメリカに持って行きました。

イギリス英語の変化の歴史

イギリス英語では「r」が少しずつなくなりました。19世紀の前半までにイングランドの南部の方言では「r」は殆ど発音されなくなりました。この変化についての理由は未だ不明ですが、現在、殆どのイングランド人は「r」を発音しません。

※勿論、中には例外があります。イングランドの南西の方言ではまだ「r」は残っています。そして、スコットランド英語では「r」が発音されます。

言語学の研究者によると、イギリス英語の発音はアメリカ英語の発音よりも速く進化してきました。それには様々な理由があると思いますが、先ずはイギリスという国はアメリカよりも国土の小さい国です。

ですから、発音の変化は全国的に早く広がりますし、外からやってくる人は短い期間で様々な場所に移動できます。ですから、シェイクスピアが使った英語と比べると、現在のイギリス英語はかなり違います。

アメリカ英語の変化の歴史

アメリカ英語の発音はイギリス英語の発音ほど変わってきていないと考えている研究者が多いようです。アメリカ英語はメイフラワーのピルグリムが使っていた発音を殆ど保存している傾向にあります。

アメリカのヴァージニア州には「Tangier Island」という小さい島があります。この島には人口が800人ほどしか住んでいません。Tangier Islandは孤島なので、400年前から殆ど同じコミュニティーが住んでいます。

そして、外の人はあまり入ってきていませんので、この島の人は「アメリカの最も古い英語」を話しているそうです。

つまり、Tangier Islandの住民はメイフラワーの頃からずっと同じ英語の発音を使っています。その住民たちの英語を聞いたら、メイフラワー時代の英語が分かるという考え方もあります。

下の動画を観ると、彼らが使っている発音を聞く事が出来ます。やはり、モダンなアメリカ英語とは、かなり違います。私の立場から見ると、「現在の南西イングランドの方言」に少し似ています。

言語・言語の発音はどうして進化するのか?

先ずは「どのでも言語が時代によって進化していく」という事を理解する事が重要です。例えば、400年前の日本語は現在の日本語とかなり違うと思います。

言語は生き物と同じように進化する傾向があります。外からやって来る民族や移民達は自分達の発音を持ってきますし、そして時代の中で新しいボキャブラリーが入ったり、古いボキャブラリーがなくなったりしていきます。

新しい物が発見されるとまた新しい言葉が現れます。テレビ、ラジオ、インターネットの影響によってローカル訛りがメインストリーム発音と混ざる傾向もあります。世界中のどの言語であってもこういった傾向があると思います。

この記事のまとめ

この記事はとても長くなってしまいましたが、ポイントをまとめると。メイフラワーの船に乗ってアメリカに向かった「初めてのアメリカ人」は当時のイギリス英語を話していました。そして時代を経て当時のイギリス英語は「アメリカ英語」に少しずつ変化しました。

イギリス英語も同時に変化しましたが、イギリス英語の変化はアメリカ英語の変化よりも速いと考えられています。イギリス英語の殆どの訛りは「r」の発音をなくしました。

アメリカの東海岸の最も孤立したコミュニティー(例えば、Tangier Island)はメイフラワー時代の英語を現在でも守っています。(外からの影響が殆ど無いため)

これで以上になりますが、如何でしたでしょうか。期待通りの回答になりましたか。これは言語学としても面白いテーマですね。

皆さんが読みやすくする為の出来るだけまとめて短い内容にした事もあり、余計な情報は減らしました。英語の歴史に興味がある方は、こういった本も面白いと思います。

created by Rinker
¥2,090 (2024/10/07 00:30:31時点 Amazon調べ-詳細)

他にも英語のルーツや歴史、イギリス英語とアメリカ英語の関係について質問があれば、是非ご連絡くださいね^^

アメリカ英語は昔のイギリス英語に似ている? アメリカ英語の由来とは?

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

シェアよろしくお願いします。
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

イギリス英語のバイブル教材

イギリス英語のバイブル ブリティッシュイングリッシュマスター 

 

ブリティッシュイングリッシュマスターは本サイトの運営者である私が完全監修・制作したイギリス英語を習得する為の専門教材です。音声のレコーディングから、本文の例文は私が作っているので、ネイティブのイギリス人としての英語のニュアンスはとても自然な英語です。

ネイティブのイギリス人が日常的に使う自然なフレーズ、アメリカ英語との違いを比較しながら、イギリス英語の文法、発音、スペルについてもアメリカ英語と比較しながら詳しく紹介しています。

本書ではイギリスのカルチャーも紹介していますので、イギリス英語以外にも、イギリスのカルチャーに興味がある方にも是非読んでもらいたい内容です。
RPアクセントの音声も付属しているので、通勤中の電車中や空いた時間を使ってこの音声教材でいつでもイギリス英語の発音が勉強出来ます。

 

目次