「紅茶」という意味になるスラング・口語
イギリスは「紅茶の国」として知られていると思いますが、実は一人当たりの年間消費量のリストを見ると世界では3番目になります。
アイルランドは2番目です。そして最もお茶を飲む国はトルコです。これは2016年の統計データですが、この順番はあまり変わっていないと思います。
紅茶が大好きなイギリス人は「紅茶・お茶」について話す際に様々なスラングを使います。そこで今回の記事では、tea以外で代わりに使えるお茶・紅茶の言い方を紹介してみたいと思います。
char、cha
英語ではteaが「お茶・紅茶」という意味になりますが、その他多くの言語ではchar「チャ」という言い方を使います。これは日本語もそうですね。そして、中国やインドもこれに似たような言い方を使うようです。
そのことから、イギリス英語にも「a cup of char」という表現があります。実はこの言い方は少し古いのですが、私のイギリス人のおばあちゃんはこの表現をよく使っていました。
char/chaの使い方 例文
A: I’m going to have a cup of char. Would you like one?
(私はお茶を飲みます。あなたも飲みませんか。)
B: Yes, please. Milk no sugar.
(はい、お願いします。牛乳を入れますが砂糖は必要ないです。)
A: Where are you going?
(あなたはどこに行くの?)
B: I’m going to make a cup of char.
(紅茶を入れにいくよ。)
a brew
次に紹介する「brew」という動詞は「煎じる」という意味になりますが、イギリス人はa brewという名詞を使います。名詞として使用するとteaと同じ意味になります。
発音は「ブルー」です。動詞としてのbrewは「お茶を入れる」という意味になります。それでは実際の使い方を例文で確認してみましょう。
a brewの使い方の例文
A: Fancy a brew?
(紅茶でも飲む?)
B: Yes, please.
(うん、飲むよ。)
A: Did you make the tea?
(紅茶を入れた?)
B: It’s in the teapot, brewing.
(今急須の中で煎じているよ。)
a cuppa
次の「a cuppa」という表現は以前に書いた記事でも紹介したことがあります。これはイギリス人がよく使う表現なので覚えておくと役に立つと思います。
これは「a cup of tea」の省略です。発音は「カパ」になります。コーヒーもa cup of coffeeと言いますが、cuppaはほぼ例外なく「紅茶」という意味になります。
イギリス映画やテレビドラマを観ているとよく出てくるフレーズです。それでは例文で使い方を確認してみましょう。
a cuppaの使い方 例文
A: Are you going into the kitchen? Could you make me a cuppa?
(今キッチンに行くの? 紅茶を入れてくれない?)
B: Yeah. Let’s open those posh chocolate biscuits, too.
(いいよ。あの高級チョコレートのビスケットも開けて食べよう。)
A: It’s cold in here. Shall we put the central heating on?
(ここは寒いね。セントラルヒーティングを付けようか?)
B: Yeah, I’ll put the heating on and make a cuppa. That should warm us up.
(そうね。ヒーティングを付けて紅茶を入れる。それで暖かくなるね。)
a builder’s
a builder’s tea/brewは「工事現場の職人が飲むような強いミルクティー」という意味になる表現です。イギリスの職人は休憩時間に濃い紅茶を飲むというステレオタイプのイメージがあります。
そのことから、a builder’s tea/brewという表現が出来上がりました。そして、teaやbrewという単語が少しずつ消え「a builder’s」という省略の形ができました。イギリス人は文脈でこの単語の意味をしっかり理解出来ます。
a builder’sの使い方 例文
A: I’m making a cuppa. Do you want one?
(お茶を入れるよ。飲む?)
B: Yeah, a builder’s for me, thanks.
(うん、私は濃いミルクティーがいい。ありがとう。)
A: I made a brew for you, but it looks quite strong. Is that ok?
(紅茶を入れたけど、かなり濃そうです。大丈夫?)
B: Yeah, I love a builder’s tea.
(大丈夫だよ。濃い紅茶が大好き。)
他の紅茶・お茶に関する表現
コックニーライミングスラングでは、teaはRosy Leeという言い方になりますが、これは現在ではあまり会話で使われないと思います。cuppaやbrewの方が日常会話上でよく使われると思います。
そして、イギリス人はよく「put the kettle on」という表現を使います。これは「紅茶を作るためにお湯を沸かす」という意味になります。イギリス人のキッチンには必ず電気ポット(電気ケトル)があります。アメリカ英語でこの表現はあまり使われません。
そもそもアメリカでは紅茶を飲む習慣が殆どないので、お湯を沸かす際には電子レンジや鍋でお湯を沸かすという噂を聞いたことがあります(笑)。
アイルランドでは「wet the tea」という表現があります。これは「紅茶を入れる」という意味になります。そして、アイルランドのスラングでscaldは「紅茶」という意味になります。
scaldという動詞は「熱湯でやけどさせる」という意味になりますが、名詞として使うと「とても熱い紅茶」という意味になります。アイルランド人はイギリス人よりも紅茶をよく飲みますので数多くの特有な英単語と表現があります。